REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
ヤマハ・MT-10 SP……1,998,000円
ヤマハ・MT-10……1,674,000円
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のっけからこのバイクの感想を表現すると「凄過ぎ」!である。このフレーズを使うのは、今回で2回目。1回目はカワサキNinja ZX-10Rの記事で使用した。つまり今回のMT-10SPの尋常でないハイパフォーマンスぶりはそれに類似する驚きのレベルにあったということである。
ワイディングロード世界最速をターゲットに開発されているYZF-R1をベースにして開発された至高のネイキッドモデル。現時点ではヤマハ・ロードスポーツカテゴリーの頂点に君臨するフラッグシップモデルなのだ。
外観デザインこそMTシリーズ一連のものだが、みるからに筋肉質なフォルムは同シリーズの中でも特別な存在であることが伺える。なにしろアルミ製デルタボックスのダイヤモンド式フレームと同リヤアームや、ロッカーアームを介したバルブドライブメカを持つDOHC16バルブ水冷4気筒の997ccエンジン関係コンポーネントはまさにR1譲り。
もちろんハイパーネイキッドに相応しい専用のチューニングは施されるが、基本的にユニットは共通なのである。
MT-10が採用するYCC-T(ヤマハ電子制御スロットル)は、いわゆるスロットルバイワイヤーとも呼ばれ、実際のスロットルバルブはモーター駆動で電子制御される仕組み。TCS(トラクション・コントロール・システム)も3モード選択式を装備。後輪の駆動トルクは、点火時期、燃料噴射量、そしてスロットル開度が統合制御されるのである。ハイパワーエンジンには不可欠なとてもありがたい電子デバイスと言えるが、それが余計なお世話(介入)と思うなら任意にOFFすることも可能だ。
QSS(クイック・シフト・システム)や急減なシフトダウンでも後輪のグリップを失いにくいスリッパークラッチ。D-MODE(走行モード切替システム)も搭載。シャープでダイレクトなエンジンレスポンスの1モードを始め、オールマイティな2モード、穏やかで扱いやすい3モードが選択できる。
意外な装備としては、4速以上のギヤでセット可能なクルーズコントロールシステムが挙げられる。かなり過激な走行性能を秘めているので、のんびりしたクルージングとは対極にあると思っていたからだ。
アドレナリンを誘う強烈な加速感
⚫️装備一覧比較
⚫️足つきチェック(ライダー身長170cm)
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⚫️ディテール解説
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◼️主要諸元◼️
MT-10/MT-10SP
認定型式/原動機打刻型式:2BL-RN50J/N533E
全長/全幅/全高:2,095mm/800mm/1,110mm
シート高:825mm
軸間距離:1,400mm
最低地上高:130mm
車両重量:212kg
燃料消費率*1:
国土交通省届出値・定地燃費値*2…23.4km/L(60km/h)2名乗車時
WMTCモード値 *3…14.0km/L(クラス3, サブクラス3-2)1名乗車時
原動機種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
気筒数配列:直列, 4気筒
総排気量:997cm3
内径×行程:79.0mm×50.9mm
圧縮比:12.0:1
最高出力:118kW(160PS)/11,500r/min
最大トルク:111N・m(11.3kgf・m)/9,000r/min
始動方式:セルフ式
潤滑方式:ウェットサンプ
エンジンオイル容量:4.90L
燃料タンク容量:17L(無鉛プレミアムガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式:フューエルインジェクション
点火方式:TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式:12V, 8.6Ah(10HR)/YTZ10S
1次減速比/2次減速比:1.634/2.687
クラッチ形式:湿式, 多板
変速装置/変速方式:常時噛合式6速/リターン式
変速比:
1速:2.600
2速:2.176
3速:1.842
4速:1.578
5速:1.380
6速:1.250
フレーム形式:ダイヤモンド
キャスター/トレール:24°00′/102mm
タイヤサイズ(前/後):
120/70ZR17M/C (58W)(チューブレス)/
190/55ZR17M/C (75W)(チューブレス)
制動装置形式(前/後):油圧式ダブルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ懸架方式(前/後):テレスコピック/スイングアーム(リンク式)
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ:LED/LED×2
乗車定員:2名
◼️ライダー・プロフィール