TEXT●今 総一郎(KON Soichiro)
2019年4月19日に池袋で発生した暴走事故や、6月4日に福岡市で発生した暴走事故など、連日のように大きな事故が報道されている。
事故の原因は、おそらくアクセルとブレーキの踏み間違いではないかと推測されている。また、いずれもドライバーが80歳以上と高齢なことを理由に、免許返納をはじめとした制度の見直しやクルマの自動運転化が急がれるといった議論が活発に行なわれている。
たしかに、そういった議論は必要だ。しかし、実現には時間が掛かることは否めない。また、最新の安全装備を備えたクルマに乗り換えるように促しても、経済的な理由から厳しいという意見だってあるだろう。
そこで改めて事故を見直して、このふたつの事故には共通点がある。ひとつは「数百mに渡って加速し続けた」こと、そしてもうひとつが「同乗者がいた」ことだ。
さらに「クラクションを鳴らして周囲に異常を知らせる」ことも重要だ。道路交通法第五十四条には「車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない」と記されている。
“車両等の運転者”としているが、人命に関わるかもしれない大事故を起こしかねない状況なら同乗者であっても躊躇わずにクラクションを鳴らす覚悟が必要なのではないだろうか?
将来的な対策の議論は行なわれているものの、同じような事故はいつ・どこで起きても不思議ではなく、それこそ自分が当事者や被害者にならないとは限らない。まず大切なのは、運転免許の有無に関わらずクルマに乗る人は全員でしっかりと知識を共有しておくことなのだ。