REPORT◉佐藤久実(SATO Kumi)
PHOTO◉Daimler AG.
※本記事は『GENROQ』2019年6月号の記事を再編集・再構成したものです。
ドイツ・ミュンヘン近郊で、メルセデス・ベンツの新型CLAクラスに試乗する機会を得た。CLAクラスといえば、デザインコンシャスなスタイルが最大の魅力。そして新型のキーワードは「50㎜」。ボンネットを下げ、ヘッドライトの上下を狭め鋭い目つきに。車高を下げ車幅はワイドに。リヤ周りもライト位置を下げ、テールゲートを外に。これらすべては先代からほぼ50㎜の変更なのだという。結果、よりエレガントでスポーティなスタイルとなった。
試乗モデルは「CLA2504マティッククーペ」。2.0ℓ直列4気筒エンジンはゆとりある動力性能で、スルスルと滑らかな回転で気持ち良く走れて、実用的な性格だ。エンジンサウンドもスポーツカーほど意図的に聴かせる音量ではないが、耳に心地良いサウンドを響かせる。そしてこのエンジンに組み合わされるDCTはトルコンATと遜色ないスムーズな変速を見せる。日本に導入されているA180とはフィーリングが違うが、あちらはATであり、ハードウェアも異なるものだ。
また、Aクラスは基本的にリヤサスペンションはトーションビームだが、CLAにはマルチリンクが奢られ、さらに試乗車にはオプションとなる可変ダンパーも装備されていた。おかげで、すこぶる乗り心地が良い。NVHにも優れ、快適性の高さが印象的だ。高速道路でハイスピードで走っていてもピタッと落ち着いたフラット感と高い直進安定性を見せる。
一方、ワインディングでちょっと元気に走ると、4マティックやワイドトレッドも手伝い安定感がありながらも、軽快なフットワークだ。
新型CLAは、同じプラットフォームを用いるAクラスよりスポーティな性格付けにしたとのこと。「スポーティ」とは曖昧な表現だが、メルセデスに言わせると、アジャイル(俊敏)なキャラクターだという。クーペらしく、決して尖った性格ではないが、確かにスポーティな走りもそつなくこなす。Aクラスにセダンが設定されたことで、初代CLA後継はそちらに譲り、CLAのポジションはよりスポーティにシフトしたのだ。
FFベースのA、B、CLA、GLAモデルをメルセデスは「コンパクトクラス」と呼ぶが、CLAのボディサイズはもはやCクラスとほぼ同等。グラマラスなリヤフェンダーのせいで、全幅はCクラスより若干広いくらいだ。セダンよりオシャレで走行フィールの質感も高く、従来以上に魅力的な存在だ。さらに、ガソリンの180、250に加え、コンパクトクラス初となるディーゼルの200dも日本導入予定。ジェスチャーや音声認識でも様々な機能に対応してくれるMBUXも進化し、インテリジェンスも光るクルマだ。
メルセデス・ベンツCLA250 4マティック クーペ
■ボディサイズ:全長4688×全幅1830×全高1444㎜ ホイールベース:2729㎜
■車両重量:1490㎏
■エンジン:直列4気筒DOHCターボ 総排気量:1991㏄ 最高出力:165kW(224㎰)/5500rpm 最大トルク:350Nm(35.7㎏m)/1800rpm
■トランスミッション:7速DCT
■駆動方式:AWD
■サスペンション形式:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡマルチリンク
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ(リム幅):Ⓕ&Ⓡ205/55R17
■パフォーマンス 最高速度:250㎞/h(リミッター作動) 0→100㎞/h加速:6.3秒 燃料消費率(EU複合):6.3~6.1ℓ/100㎞ CO2排出量:143~139g/㎞