東レは、長年の研究・開発で蓄積した技術データベースをもとに設計した革新的なマテリアルデザインと、同社独自のナノテクノロジーであるナノアロイをベースとしたアロイ精密制御技術を用いてポリマー構造を最適化することで、弾性率1,200MPa以下という、世界最高レベルの柔軟性を有した新規PPS樹脂の開発に成功した。この新規PPS樹脂は、170℃で1,000時間処理しても機械強度の低下はなく、実使用環境で必要な酸やクーラント(自動車冷却液)に対しても高い耐性を有していることを確認している。また、自動車配管用途への展開を見据えた中空配管での加工性検証や、樹脂特性の適正化を進めてきた。
今回開発した新規PPS樹脂を用いることで、従来実現できなかった自動車配管部品の樹脂化や、部品点数削減、工程簡略化などが期待できる。既に自動車配管用途で提案を開始しており、本格的な材料提案開始に向けて、今回開発した新規PPS樹脂の生産体制の準備を進めている。