ZF Friedrichshafen AGは、28日、WABCOの株式を1株当たり136.50ドルで取得することで正式契約を締結したと発表した。統合後の売上高は約400億ユーロ。

 この買収は、ZFの取締役会および監査役会ならびにWABCO社の取締役会により承認されている。 今後ZFとWABCOは共同で、商用車の世界をリードする統合モビリティシステムプロバイダーを形成し、商用車関連の顧客に付加価値を提供していく。




 WABCOは、トラック、バス、トレーラーなどの商用車向けに安全性、効率、コネクティビティ向上に貢献するブレーキコントロールシステム、技術およびサービスを提供する世界的なサプライヤー。同社の製品ラインナップは統合ブレーキシステム、横滑り防止装置、エアーサスペンション、トランスミッション・コントロール、および空力やテレマテックス、フリートマネージメントに関するソリューションなど広範囲に及ぶ。ニューヨーク証券取引所(NYSE)上場企業であるWABCO社の2018年の売上高は33億ユーロで、世界40か国に約16,000人の従業員を有している。




 ZFのウォルフ=へニング・シャイダーCEOは以下の様に述べている:「WABCO社とZFは、世界をリードする商用車向け統合システムサプライヤーとして、お客さま、その従業員と関係者に長期にわたる価値と安定を提供していきます。商用車向けブレーキシステム大手企業との統合で、ZFは安定的に成長が見込める事業セグメントへの参入が可能になると同時に、商用車事業部のビークルダイナミックスコントロールに関する技術力向上が図られます。これは、当社が乗客や貨物輸送用の安全で自動化された包括的なモビリティソリューション提供の基盤となります。この買収はまた、将来に向けてのZFの強化につながるため、当社のオーナーであるツェッペリン財団と、ユルゲン博士およびイルムガード・ウルダップ財団(Dr. Jürgen and Irmgard Ulderup Foundation)にとってもメリットをもたらします」




 WABCO Jacques Esculier会長兼CEOのコメント:「当社は、妥協のない姿勢と革新性を追求する情熱、顧客第一主義をZFと分かち合い、革新的なテクノロジーを共に開発してきた長い歴史があります。ZFと力を合わせることで、高効率でコネクテッドな自動運転商用車に対する将来の需要に対応できる、グローバルトップクラスのテクノロジー企業が生まれます」




 今回の買収はZFの「Next Generation Mobility (次世代のモビリティ)」戦略の一環であり、商用車向けブレーキシステムソリューションへの参入の第一歩。この分野は、トラックおよびトレーラーの緊急ブレーキ制御を含む運転機能の自動化に中心的な役割を担っている。統合後は、商用車関連のお客様に対して完全統合型システム、新しいEモビリティシステムおよび自動運転ソリューションを提案していく。運転機能の自動化は、まず商用車、例えば工場敷地内や空港、農業用途など、比較的シンプルな交通環境で使用される車両に普及していくと考えている。2社の統合はまた、商用車の自動運転を可能にする新しいテクノロジーの開発を、乗用車業界の動向に左右されずに推し進めていくことを可能にすると期待している。




 今回の戦略的買収は、排ガスを減らし道路の安全性を向上させることを目指し、乗用車と商用車を「see.think.act (見て、考えて、動かす)」ものとする技術開発の一環。ZFは既に、「見て、考える」ためのセンサーシステムとコンピューター技術を持っている。またZFは既に、ステアリングおよび駆動系技術においてはトップクラスのサプライヤー。WABCO社の買収によってさらに、近い将来、商用車を「動かす」ためのソリューションを拡充し、製品ラインナップを完成させる計画だ。




 ZFのコンスタンチン・ザウアーCFOのコメント:「TRW社買収による負債は計画を上回るペースで大幅に減少しており、WABCO社の戦略的買収はZFにとって良いタイミングで行われています。WABCO社は健全なキャッシュフローのもとで安定的に成長しています。事業面でも、ZFのビジネスと効果的に統合が可能で、当社の戦略遂行に大きなサポートとなるでしょう」




手続きは規制当局の承認およびその他の慣習的な買収条件を満たした後、WABCOの発行済み株式数の50%を超える株主の承認を経て終了する。ZFは、2020年初頭の完了を見込んでいる。両社のキャッシュフロープロファイルによりZFは、買収終了後における財務レバレッジの大幅な削減を見込んでいる。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 ZF:WABCO買収の最終合意書に署名