そのRS3 LMSというクルマが大いに気になる。当然ながら巨大なフェンダーやウイング/スポイラー類が備わってはいるものの、クルマの姿としては見慣れたアウディA3セダンそのもの。昔から「同じなんだけど全然違う」というのが個人的にとても興味のある形態で、果たしてRS3 LMSとはどんなクルマなのかを調べてみた。
全長×全幅×全高:4589 × 1950 × 1340mm
ホイールベース:2655mm
車重:1180kg(TCR SEQ)/1215kg(TCR DSG)
エンジン形式:直列4気筒ガソリン
排気量:1984cc
内径×行程 82.5mm × 92.8mm
圧縮比 ─
最高出力 243kW/6200rpm
最大トルク 410Nm/2500rpm
給気方式 ターボチャージャー
変速機:6速MTシーケンシャル式/6速DCT
駆動方式:FWD
0-100km/h加速:約4.5秒
最高時速:265km/h(SEQ)/245km/h(DSG)
価格:1835万円(DSG)
なんだかワクワクするスペックではないか。RS3 LMSはツーリングカー選手権「TCRシリーズ」に向けて開発されたRS3セダンベースのレーシングカーで、レギュレーションにより以下のような改変が施されているようだ。
全輪駆動 → 前輪駆動化
5気筒ターボ → 4気筒ターボ化/2500cc → 2000cc
LMSが搭載しているエンジンはどうやらEA888ベース、もともとRS3セダンが搭載しているEA855の4気筒版である(というよりEA855がEA888の5気筒版というべきか)。
シャシーについては、ベース車両の「レイアウトは踏襲だがパーツは自由」というレギュレーションとなっている。ブレーキは上限が定められた強化が認められている。というわけで、フロント:ストラット/リヤ:マルチリンクの形式は踏襲するものの、(おそらく強化部品に交換されたうえで)車高/トレッド/キャンバー調整式としている。スタビライザーも前後ともに3段階の調整式だ。
ブレーキは「前:最大6ピストン、ローター最大直径は380mm/後:最大2ピストン」という規定により、フロントローターはφ378×t34mm、リヤローターはφ272×t12mmという仕様にしている。キャリパーは前6/後2ピストンで、アルミ合金製とあるが、アルミ合金製ではないキャリパーというのも珍しいので、おそらくモノブロックなどの強化構造にしてあるのだろう。
コックピットを眺めると、市販仕様の部品がそこかしこに使われているのがわかってとても親近感を覚える。ダッシュパネルは特徴的なルーバーはドライバー左右に残るものの、ふたつだけになっている。シフトレバーはシートポジションに合わせて車両後方に移動していて、ポジション優先のためなのか右ハンドル用が使われているのがユニークだ。