・全長×全幅×全高 6.0m×5.2m×3.8m(マイクロバス約2台分)
・居住空間13m3(4畳半ワンルーム程度)
・2名滞在可能(緊急時は4名滞在可能)
今回の協力合意に際して、JAXAの山川理事長は以下のように語った。
「JAXAでは、我が国の国際宇宙探査への参画に向けて、国際調整や技術検討を進めており、我が国として優位性や波及効果が見込まれる技術で貢献することを目指しています。今回、トヨタ自動車様が国際宇宙探査に挑戦する“仲間”に加わっていただき、大変心強く思います。有人与圧ローバは、本格的な月面の探査・利用において重要な役割を担う要素であり、我が国の技術力を結集して技術検討に取り組んでいきたいと考えています。今後の共同検討により、トヨタの優れた走行に関する技術力を活用させていただき、有人与圧ローバの実現に向けて、技術検討が加速していくことを期待しています」
また、トヨタの豊田社長は「自動車業界としては、これまで『ホームタウン』『ホームカントリー』を念頭に取り組んできましたが、これからは、地球規模の環境問題への対応など、我々の故郷である『ホームプラネット』という概念が非常に大切になってきます。国・地域といった枠を越えて、どのような役割を果たしていけるのかを考え続けている私たちと、国際宇宙探査は志を同じくするものだと思います。また、クルマは地球上のあらゆる地域で使われており、地域によっては生きて帰ってくるための相棒として活躍しています。今回のプロジェクトに求められることは、まさに生きて帰ってくるということだと思います。そうしたプロジェクトに、これまで培ってきたトヨタの車両の『耐久性、走破性』と『FC』という環境技術に期待を寄せていただいていることを大変うれしく思います」とのこと。
また、本日行なわれたシンポジウムでのJAXAの若田理事とトヨタの寺師副社長がトークセッションでのそれぞれのコメントは以下のとおり。
若田理事コメント
「JAXAでは、我が国の国際宇宙探査への参画に向けて、シナリオの検討や具体的なミッションの技術検討を行っています。有人与圧ローバは、2030年代に想定している有人月面探査を支える重要な要素で、2029年の打上げを目指しています。月は地球の6分の1の重力がある重力天体です。一方、クレーター、崖、丘が存在し、また地球と比して過酷な放射線環境や温度環境、極高真空環境に晒されます。
広域の有人月面探査には、そのような環境でも1万km以上を走破できる有人与圧ローバが必要です。このようなミッション要求とトヨタが考える“宇宙でのモビリティ”構想が一致し、昨年5月より、トヨタとJAXAは共同で有人与圧ローバの概念検討を行ってきました。
これまでの共同検討において、有人与圧ローバシステムの1次案を検討し、解決していかなくてはならない技術課題を識別しました。今後は、それらの技術課題について、トヨタとJAXAが持つ技術・人材・知見等を生かし、着実に解決していきたいと考えています。
国際宇宙探査は、未知なる世界への挑戦です。そのためには、我が国の技術力を結集して“チームジャパン”として取り組んでいくことが重要だと考えています。今回のトヨタとの連携をきっかけに、さらにチームメイトが増え、“チームジャパン”として国際宇宙探査に挑戦し続けていきたいと思っています。」
寺師副社長コメント
「私たちのクルマづくり、更に、燃料電池を始めとした電動車両、そして自動運転の技術を通じ、今回の月面でのプロジェクトに参画できることは、エンジニアにとってこの上ない喜びであり、非常にワクワクしています。
特に燃料電池は、クリーンな発電方式で、水だけを排出し、エネルギー密度の高さから多くのエネルギーを搭載可能であるため、今回のミッションに最適です。
トヨタは、地上での持続可能なモビリティ社会実現に向け、HV、PHV、EV、FCVといった電動車が共存して広く使われると考えており、燃料電池はそのために不可欠な技術です。
FCVは、吸い込んだ空気に含まれるPMなどの有害物質を削減し、排出する、いわば『マイナスエミッション』という特徴があり、今後はこの性能を更に向上させていきたいと考えています。
電動車両は普及しないと地球環境への貢献にはなりません。トヨタは『電動化フルライン』メーカーとして、電動車両の普及を目指して完成車だけでなく、システムや技術など様々な形でお客様に提供したいと考えています。
今回の共同検討もその一環であり、“チームジャパン”の一員に仲間入りさせていただき宇宙へチャレンジしたいと考えます」