あまりにも短命だったため「幻」とも表現されるそのスバルF1の水平対向12気筒エンジンの実物が拝める、隠れスポットをご紹介。
スバルファンやコアなF1ファンなら記憶にある方も多いかもしれませんが、1990年にF1に参戦したスバルの水平対向12気筒エンジンの現物(と思しきもの)がスバルのお膝元、群馬県で見られます。
イタリアのエンジニアリング会社モトーリモデルニと共同開発された3.5ℓNA水平対向12気筒エンジン。
これには、その当時らしいノリと勢いで紡がれた、紆余曲折の物語があるそう。
ご存知のない方にちょっとこのスバルF1の情報を少々。
バブルが生んだスバルF1プロジェクト
そもそもはバブル景気真っ盛りの1986年にスバルの高岡氏、レーシングコンストラクター童夢の林氏、そしてランジェリーでお馴染みのワコールの塚本氏の3人が銀座のクラブ(注:語尾を上げない方)で酒を酌み交わしながら始まったという。
(ここにワコールが絡んでいるのがバブルっぽい!)
その話というのがF1のエンジンではなく市販スーパーカー、後のジオット キャピスタをつくろうというもの。
(このジオットキャピスタも紆余曲折の末発売には至らなかった。)
そのスーパーカー用エンジンとして始まったスバル製エンジンが、あれやこれやでF1のエンジンとして前述のモトーリモデルニのカルロ・キティ博士とスバルの共同で開発され、当時の新興チームコローニのマシンに積まれ1990年にF1参戦を開始した。
が、そんなキッカケだからというわけではないでしょうが、戦績を繙いても、ずっと予備予選落ち。本戦はおろか予選すら走れぬままシーズン途中にチームはエンジンをフォードのV8にスイッチ。
その年限りでスバルはF1から撤退というのが、このエンジンのバックグラウンド。
そんな調子なので、あるいはスバル的には黒歴史かもしれません。
まあその後90年代後半にはWRCで栄華を誇ったのでセーフですが……。