PHOTO:渡辺昌彦 REPORT:モルツ(月刊モトチャンプ 2019年2月号より)
2018年8月16日に富士スピードウェイで開催されたオートバイ誌が主催するMAXZONE miniで、160km/hをマークした3型シグナスX。もちろん160km/h以上を叩き出すシグナスXは他にも存在するが、街乗り兼用となると話は別。レース仕様と比較して保安部品や電装系など制限される部分も多く、重量増は必至だ。
そんな不利な条件で挑む当車両の心臓部はCODO製の225ccキットがベース。同社のシリンダーヘッドは鋳物ではなくCNC削り出しなので精度に優れ、ポート加工など手が加えやすいのが採用した理由だ。使用するピストンについては秘密だが、ワイセコ製ピストンを参考にして、街乗りに必要な耐久性を高める加工が施されている。
さらに驚きなのが吸気系。なんと時代に逆行し、FIからキャブレター仕様へコンバート。オーナーは「原付のFIは、大排気量車や四輪などに比べて発展途上で緻密な制御が難しく、あいまいな部分も多いんです。セッティングを煮詰めるのにはフルコンが必要だし、時間もお金もかかる。限られた予算でやり繰りするためにもアナログなキャブの方がやりやすいと判断しました」という。
補足までに、オーナーの職業は四輪のメカニックである。また1型も所有し、こちらは逆にキャブからFI仕様に変更して約150kmの最高速を記録している。プロの観点からFIとキャブの善し悪しを見通したうえでのモディファイなのだ。
パワーを余すことなく伝達する駆動系は、ドライブ側にKN企画製のトルクシフターを、ドリブン側にKOSO製のデルタクラッチやスリットを自作加工したアルミトルクカムを採用。トルクシフター用のウエイトローラーは0.5g刻みのため、一つひとつ削ってベストな重量(5.2 g×6個)に仕上げている。「駆動系は一つの部品が変わるだけでガクッとスピードが落ちるのでセット出しには苦労しました」と、終わりの見えないトライ&エラーに心折れることもあったそうだ。
街乗りでの扱いやすさやタフネスをスポイルせずに成し遂げた『ストリート最速』の偉業は、まさに男の浪漫そのものである!
SPECIFICATIONS127
■金玉峰玉製クランク(64.1mm)
■エンジンハンガー50mmロング加工
■ MOS製アルミ鍛造ホイール
■ワンオフφ32エキパイ+チタンサイレンサー
■ X-HOT(PGO)純正メーター移植
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