2016年6月に、警察が自動速度取締機、オービスの運用方法を見直すことを発表したが、現在、その見直しは着々と進行中。この2年で10数機が新設されたのに対して、撤去は4倍以上の60数機と、明らかに撤去がメインとなっている。
その理由は、まず、全国に設置されているオービスの相当数が、すでに耐用限界を迎えていること、さらに、一時期、大量に設置したHシステムがメーカー(三菱電機)の撤退により、全数が撤去対象になっているからだ。さらに、撤去ポイントに新たに代替え機を新設するケースが少ないことからも、今後、固定式オービスは徐々に減っていくことになるだろう。
ただし、取り締まり効率の高いポイントには、確実に新世代のオービスであるLHシステムや新Ⅼ型オービス、そしてさらに、現在、大阪府で運用されているレーザー式オービス(Li/LHi)が新設されていくはずだ。特に、一般道のオービス全76機が、撤去対象となっているHシステムである北海道で、昨年暮れから撤去が始まったところを見ると、アーチがそのまま流用できるLHiに徐々に変わっていくのではないかと、噂されている。果たして、すでに全国で本格運用されている移動オービスと同様に、固定式においてもレーザー式が主流となるのか、興味しんしんだ。
2. 移動オービス
昨年、移動オービスの導入を発表した都道府県が、今年に入り、次々と本格的な運用開始の模様を、各メディアに公開している。現在、移動オービスによる速度取り締まりを実施している都道府県警は、次の通りだ。
北海道/青森県/秋田県/岩手県/宮城県/栃木県/埼玉県/東京都/神奈川県/山梨県/静岡県/長野県/愛知県/岐阜県/富山県/滋賀県/奈良県/兵庫県/岡山県/島根県/香川県/福岡県/宮崎県/大分県
最近、すっかり、スピード取り締まりの話題の主となっているが、冷静に考えてみれば、導入された可搬式移動オービスは、各都道府県で1機から最多でも5機。毎日のように日本全国のあちこちで取り締まりが行われているというわけではないことは、その数を見れば明らかだ。
それよりも、問題なのはその運用方法。従来、撮影を伴う取り締まりの対象は、固定式オービス同様、非反則行為(赤切符)のみというのが常識だったが、昨年、愛知県警が15kmオーバーという反則行為で後日呼び出しによる検挙を行い、我々ドライバーを震撼させたことは記憶に新しい。さらに、その記憶が冷めないうちに、先日、岐阜県可児市内で、無人運用されていた半可搬式オービスを発見! 「オービスによる取り締まりで切られるのは赤切符」「移動オービスでの検挙は警察官の現認が必要」という常識が、見事に覆されたことになる。
残念ながら岐阜県での無人運用において反則行為(青切符)でも後日呼び出しによる検挙を行っているのかどうかは、今のところ未確認だが、現地の道幅や交通量を鑑みれば、非反則行為のみ取り締まっているとは、取り締まり効率を考えても、とても思えないのだが。
いずれにしても、いまだに測定精度など、素性が明らかにされていないレーザー式移動オービスを当然のように導入したり、平気で青切符を切ったり、しまいには無人で運用したり、と、警察は、移動オービスの市民権を強引に得ようとしているとしか考えられない。
我々、ドライバーにとってはレーダー探知機が効かない以上、対処の仕様はないが、最近、移動オービスの目撃ポイントが格納されているレーダー探知機やオービスアプリ等が、販売されている。それで万全というわけではないが、ないよりはマシ。さらに、ネットの目撃情報などをチェックして、リスクを最小限に抑えてほしい。
2017年夏の東名あおり事故以来、全国的に「あおり運転」の取り締まりが厳しくなっている。が、「暴行罪」での検挙は数えるほどであり、そのほとんどが、「車間距離不保持」や「通行帯違反」といった、いわゆる軽微な違反とされる「反則行為(青切符)」での検挙となっている。つまり、あくまでも「あおり運転」につながりやすい違反を取り締まることで、「あおり運転」を未然に防止しているというわけだ。
これは我々善良なドライバーにとってみれば、なんともめんどくさい話。従来は見過ごされていた軽微な違反でも、検挙される機会が増えるということ。別に他車をあおるつもりがなくても、前のクルマがブレーキを踏んだために、つい、近づきすぎただけでも、「あおり運転未遂(?)」と判断される恐れがある。近くに警察官がいなかったとしても、空からヘリコプターに目撃され、SAなどで待機していたパトカーがぶっ飛んでくるかもしれないのだ。
ちなみに警察が「あおり運転」につながりやすいとしている違反は次の通り。
1.車間距離不保持
2.進路変更禁止違反
3.急ブレーキ禁止違反
4.追い越しの方法違反
5.減光等義務違反
6.警音器使用制限違反
7.安全運転義務違反
8.初心運転者等保護義務違反
もちろんこれらの違反は、「あおり運転」かどうかは別にして元来、立派な違反であり、場合によっては交通に危険を生じさせる違反である以上、検挙されても致し方はないとも言えるが、警察官に現認されたのならともかく、最近はブーム(?)に乗って、警察に通報するドライバーが後をたたないという。中には明らかにいいがかりと思われるケースもままある。ここはやはり、「冤罪」を避けるという意味でも、ぜひ、ドライブレコーダーを前後に装備するべきだ。事実、東名あおり事故以来、各メーカーのドライブレコーダーの出荷が倍増している、とか。
というわけで、「あおり運転」への対処法は、冷静な運転とドライブレコーダーで対応する、これがベストであることに間違いはない。
PART2「パトカー&ネズミ捕り」編は近々、公開!