21世紀後半はこの水素エネルギーを利用する社会になると期待されている。水素は高圧タンクや液体水素での貯蔵と輸送が行なわれているが、体積あたりのエネルギー密度が低いので700気圧という超高圧が必要で、液体にするには-253℃という超低温が必要になるため、水素の貯蔵と輸送には大きなエネルギーを消費する。そのため、トルエンと化合させて液体の有機ハイドライドの形にする、窒素と化合させて液化が容易なアンモニアの形にする、CO2と反応させて天然ガスの主成分であるメタンの形にして輸送する方法が研究開発されている。
一方、自動車のエンジンに使うカーボンニュートラル燃料については、藻類を使うバイオマスや植物や廃棄物を直接燃やしたり発酵させたメタンガスを燃やす方法が知られているが、再生可能エネルギー由来の水素と回収したCO2から合成する気体や液体の燃料についてはあまり知られていない。前者は自動車の大量の需要を満たすだけの量の確保に問題があると言われているので、ここでは後者について考えてみたい。