しかし、エンジン始動こそ問題なかったが、エアフロメーターのセンサー位置変更による吸気脈動などから純正ECUはエラー信号を認識。さらにはセーフティモードでスロットルが完全に開かないという問題にも直面。
それまでの600ps仕様では、比較的容易にクリアできたECUチューンだったが、思わぬところに落とし穴があったのだ。とにかく、対策を施してもECUが異常(チューニング)を感知し、セーフティモードに突入してしまうのだ。
製作を手がけるJ&Kでも、ある程度予測していたことではあったが、その想定以上に、次から次へとエラーが出でてきて解析が進まないのだ。
しかも、レクサスRC FのECUチューン制御の克服に関して、国内での成功例は見当たらず情報収集にも限界が訪れる。この対策としてJ&Kが講じた手段は海外の解析エンジニアを頼ること。法規によってCPUデータの公開が義務付けられているアメリカならば対策できるのではないかと考えたのである。
最初は、アメリカ仕様に書き換えたデータを書き込むことで対応できるのでは? と想定、現地から必要な機器を送ってもらいチャレンジしたが日本仕様にはその手法もかなわなかった。
おそらく、日本仕様とのアメリカ仕様のは制御項目や内容の違いがあるのだろう。そこで、現車のECUを現地に送り、エラーを拾う原因となるデータやフィードバックの補正データの割り出し、その許容範囲の拡大するデータを作るなど、考えられる要因を予想し現地のエンジニアと打ち合わせを重ねながら、対策を高じながらCPUのデータを何度も作り直した。
こう書くと、スムーズにことが進んだように感じられるかもしれないが、情報を集め、エラーの原因を検討しつつ、何度となく海外とECUのやりとりを行いながら、海外のブレインと打ち合わせを繰り返す。この作業は楽なものでなく、気がつけば機械的な部分の完成から1年半近い時間をついやしてしまったというのだ。
最終的には結果的には、見事エラー発生の回避に成功。メインの直噴のインジェクターを活用しながら、足りない燃料を純正のサブインジェクターの制御(FコンiSでマッピング)することでツインスーパーチャージャーの性能を開花させることを可能としたのだ。
現在、セッティングをほぼ終えた2URエンジンは、2機のスーパーチャージャーチャージャーでの過給を受けて約800ps。
そして、このクルマのパフォーマンスをチェックするにあたって、大きな問題が…300km/hに迫る巡航速度を持つ(ハズ)のチューニングカーとなると、公道では試乗テストもままならない!!
そこで、12月26日発売のオプションではテストコースを用意、R35GT-Rと乗り比べながらオーバー300km/hでの比較試乗を読者のみなさんにお届けする予定だ!!