ドローンでの物品の輸送に関しては、安全性も最優先事項の一つ。ドローンは時速30キロのヘキサコプターで、主に工場の屋根の上を飛行し、やむを得ない場合にのみ車道や歩道を横切る。約30~40分の電動飛行を可能にする充電式のバッテリーは、プロペラやモーターと同様に冗長化されており、モーターが1基故障してもドローンの操作は可能だ。
ZFの商用車事業部トップのフレデリック・シュテッドラー氏(Fredrik Staedtler)は、次のように述べている。「当社は今年ハノーバーで開催されたIAA商用車モーターショーにおいて、自動配送を実現するために開発中のテクノロジーを発表しました。このドローンによって、当社は輸送チェーンを次のレベルに引き上げていきます」
「自動ドローンの飛行承認が、シュトゥットガルト行政当局とドイツ航空管制局(DFS)から下りたことにより、工場内の物流工程の迅速化と同時に、テクノロジーリーダーとしての当社の地位を強化することができます」
シュテッドラー氏は次のように続ける。「保守技術責任者のミハエル・ヴィースト(Michael Wiest)はZFの『アジャイルワーキング』を活用し、当初は過小評価されていたアイディアを発展させ、ドローンによる物流を素早く独創的な方法で実現させました。完全自動ドローンの飛行許可が検討され始め、まだ法整備も開始されていなかったときに、ヴィ―ストはプロジェクトを推し進めていました」
ほとんどのドローンにはカメラが搭載されており、現在も地図作成や工場フェンスの監視、測量などの目的に限り、私的または商用利用が認められている。ZFは今回、工場の敷地内で自動ドローンを用いて物品を輸送する、ドイツ初の企業となった。
ZFの商用車事業部でサプライチェーン管理の責任者を務めるマティアス・ハベストロフ氏(Matthias Haberstroh)は、次のように述べている。「当社の配送ドローンを恒久的に物流プロセスチェーンに組み込むには、ある程度の調整を加えて完全にスムーズな飛行を実現する必要があります。この輸送システムはサプライヤーによる広範囲にわたるテストを受けていますが、それでも工場の建物間の正確な位置を確認するために、さまざまなナビゲーションセンサーをフリードリヒスハーフェンの敷地内でテストする必要がありました」
工場の敷地内でドローンを使用することは、インダストリー4.0分野におけるZFの新たな活動のひとつであり、ビジネスとして成立するものだ。中期的には他の企業も、それぞれの敷地内で配送ドローンを使用できるようになる。また将来的には、宅配便や郵便小包などの配達車両がアクセスする事が難しいエリアへの配送にも使用できるようになる。