しばらく走ると保土ヶ谷料金所の手前から道が混んでくる。あれよあれよといううちに前走車がハザードをたき始め、完全に流れはストップ。大渋滞である。何かあったに違いない。走っては停まりの繰り返しを余儀なくされるが、こちらはアイサイト装着車。全車速追従式ACCを作動させれば痛くも痒くもない。前のクルマがちょっとよそ見をして発進が遅れ、車間を取り戻そうと急加速してもフォレスターのACCは嫌みなく加速、もたもたしているうちにヒョイッと割り込みされてしまうなんてこともなく、まことにドライバーの気持ちに沿った制御で感動である。
渋滞を抜けて横浜横須賀道路に入ると道はガラガラに。バビューンと走ると屋根から赤いグルグルを回すクルマに呼び止められるのでそこそこでとどめ、加減速を試してみた。ご存じこの横横道路は登降坂が多くて、加減速が頻繁。なんとなく、これまでのCVT搭載のスバル車は一定速度をキープするのが難しく、結果として始終クルマがふわふわ走ってしまうという印象があったのだが、新型フォレスターのパワートレインは加速のツキが非常によろしく、登坂ステージに入りアクセルを操作しても一瞬のラグという感想は一切ない。
とくに感心させられたのが降坂時の制御。かつてのCVTはアクセルを離すとコースティング対応のためにすぐに変速比を高速モードに切り替えて転がり抵抗を低減していたが、新型フォレスターはギヤ比をステイ。つまりエンジンブレーキを効かせて速度調整が可能で、無用なブレーキランプの点灯を防ぐことができる。このあたり、CVTながらステップ制御をしているリニアトロニックの特長なのかもしれない。
2.0ℓターボにリニアトロニックという組み合わせも可能だったとは思うが、スバルのターボエンジンはどちらかというとダウンサイジングというより出力追求型の印象。よってターボラグが生じるような制御がこれまでに多く、するとCVTの変速時のラグとかけ合わさり加速時に間隙が生じてしまう。2.5ℓの自然吸気エンジンという排気量の持つもともとのトルク感とNAならではのレスポンス、そしてステップ制御によるCVTのメリットが働き合い、良好なドライブフィールを生み出していると感じた。
229kmを走行し、満タン法で10.14km/ℓ。車載の燃費表示では10.6km/ℓを示していたことをあわせてお伝えしておこう。
スバルは新型フォレスターについて、2.0ℓ+モーター+CVTのAdvanceグレードを用意している。こちらの登場は秋以降で、彼らは「燃費をはじめとしたハイブリッド特性というより、走行特性を重視したらモーターになった」という言い方をしており、こちらの仕立ても非常に楽しみである。