マツダ・ファミリアというクルマをご記憶だろうか。世界戦略車であり、ロータリーを積んだこともあり、カー・オブ・ザ・イヤーの初回受賞車であり、日本初のフルタイムAWD車だったりと、名前のとおりファミリーカーながらじつに華やかだったクルマである。「華やかだった」と過去形なのは、すでにその命脈は尽きているから──と思ったら、なんと2018年現在も買えるようだ。

 赤い3ドアハッチバックのファミリアは当時そこかしこで走り回っていて、ああヒットしたクルマなんだなあと強く記憶に刷り込まれた。スクエアなボディシェイプはいかにも80年代というイメージで、しかもこのクルマがファミリアにとって初のFWDモデルだったらしい。セダンもあって、なぜか顔が当時のBMWみたいな逆スラントノーズだったのも記憶に残っている。こちらのイメージは薄いブルーである。




 もうひとつ、よーく覚えているファミリアがカブリオレ。世の中がどんどん好景気になってきて、屋根が開くクルマというものが決して荒唐無稽ではなくなってきたのだろう。「うわファミリアの屋根もなくなった」なんて驚いたのも覚えている。マツダの方にお話をうかがうと、このクルマかRX-7のカブリオレが入社後初の購入車なんてことをよく聞く。人気だったのだろう。

ファミリアのカブリオレ。なんとターボである。この世代のファミリアはやけにバリエーションが多くて、その中に日本初のフルタイムAWD車もそろっていた。

 そんなファミリアというクルマはすでにアクセラになってしまって、もう消滅してしまったとばかり思っていた。そうしたら先日、マツダからニュースリリースが届いて「マツダ、新型『ファミリアバン』を発売」という。新型? 復活ではなく新型? ってことはずっと続いていたってことか?




 非常に興味をそそられてリリースを確認してみたら、こんなクルマが現れた。

新型ファミリアバン。「バン」ってところが萌えるポイントである。

 ……。




 これは……。




 コレはいいじゃないですか!




 皆さんならすぐにおわかりだろう。トヨタのプロボックス/サクシードのOEMモデルだ。しかしノーズに燦然と輝く誇らしげなMマークをご覧あれ。まごうかたなく、ファミリアである。


 プロボックス/サクシードに乗ったことがある方は先刻ご承知、このクルマはとんでもなく出来がよろしい。重い荷物を載せてもきちんと走らせるための頑強なボディ/シャシが、結果としていい走り味をもたらしているのだ。


営業バンが高速道路をぶっ飛ばせる理由

プロボックスとサクシードがなぜすばらしいのかはこの本でよくわかります。大ヒットだったので続編もあります。

 内装も最高である。余計なものがまったくついていない。仕事のグッズをあちこちに差し込む場所があり、そして走行中にそれらが暴れない。シートも簡素な作りながら乗り降りを徹底的に研究しているため壊れない、疲れない。そしてよーく考えてみればこのクルマ、ダイハツで作られているのである。マツダ×トヨタ×ダイハツという3メーカーの共同作業による夢のような製品だ(大袈裟か)。

インパネの中央に素っ気なく一眼メーター。左右にはなんにもない。もはやレーシングカーの趣である。

 せっかくだから、「新型」というだけにこれまでのファミリアバンがどんなものだったのかを振り返ってみよう。あーあったね!と盛り上がること、必至である。

あーあったね!と言えるアナタは人生の大先輩に違いない。

60年代テイストにあふれるデザイン。うーむ……カッコいい……。

急に70年代のアメリカ小型車風に。ファミリアのフルモデルチェンジとバンのモデルサイクルが一致していないのがミソ。

カブリオレとかAWDと同じ世代のクルマ。コレはバンではなくワゴンのようだ。

お?と思ったアナタはさすが。ここからOEM供給を受け始める。残念ながらマツダバッジの資料がなく、日産の資料から。ADバンである。

ADバンのフルモデルチェンジにともなってファミリアバンもシフト。

またもや、ADバンのフルモデルチェンジにともなってファミリアバンもシフト(笑)。見かけたら幸せになれそうだ。このモデルの次が、プロボッ……じゃなかった新型ファミリアバンである。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 ええっマツダ・ファミリアがまだ買える?