その謎はすぐに解けた。富士重工業あらため、スバル(17年4月〜)はかねてより航空宇宙事業に参画してきたが、今回はスバル製の中央翼が採用されるボーイング787に搭乗し、体験することが目的のひとつなのだ。
中央翼とは左右の翼と前後の胴体をつなぐ飛行機の中央部分だ。もちろん巨大な旅客機の部品だから数百tの荷重に耐え、それでいて高精度、高品質が求められる。航空機にとって事故は絶対にあってはならない。
自動車の事故に対する取り組みとはレベルが違うのだ。出自が中島飛行機のスバルは、その航空機開発の安全思想を自動車に盛り込み、高品質を目指しているという。
前置きが長くなったが、そんなスバルが大きく関わった旅客機をチャーターし北海道を訪れた。その本来の目的はスバル研究実験センター美深テストコースの視察のためだ。
美深は旭川空港からバスで3時間ほどの極北にある。1995年から冬季寒冷地試験場が存在していたが、今回開所したのは夏季にも使用できる「高度運転支援技術テストコース」、つまり自動運転開発拠点だ。
ここに分合流のある高速道路を模した周回路や片側1車線、対向車線のある模擬市街路が新設された。初秋の爽やかな風が吹く美しいテストコースを見て、アイサイトに始まるスバルの先進安全技術はますます効率よく開発が進むと確信した。
※本記事は『GENROQ』2018年1月号に掲載された記事を再編集したものです。