「そんなに納車まで待てない!」というアナタ。
ジムニーと同じくらい「タフで」「道具感に溢れ」「卓越した運動性能を持ち」
そして「所有する満足感が高い」軽自動車を忘れてはいませんか?
そう、希代の名車「スバル・サンバーWRブルー・リミテッド」だ!
スズキ・ジムニーの人気が手をつけられない状態になっている。週末のディーラーには市場希望者が殺到し、今から注文すると納車は約一年待ちだという。広いとか燃費がいいとか、そういった家電的な性能を追い求めた軽自動車が多いなか、多くのユーザーがいかに「コンパクトで、かつ自動車としての本質的な魅力を高めた」モデルを待ち望んでいたのかの表れと言えるのかも知れない。
とはいったって、そりゃ納車まで一年は長すぎますよ、フェラーリじゃあるまいし。今後、生産体制が強化されて納車が早まる可能性はあるにしても……。
そんな気分のアナタにオススメしたい、もう一台のプレミアムかつタフな道具感に溢れる軽自動車がある。2011年に限定1000台で発売され、瞬く間に完売となってしまった希代の名車、スバル・サンバーWRブルー・リミテッドである。
そもそもベースとなるサンバー自体、RRレイアウトによる優れたトラクション性能、空荷時の安定性や乗り心地など、軽商用車らしからぬ「ジドウシャとしての高い走りの本質」を備えた隠れたスポーツカーとして知られ、同じRRレイアウトを持つ911に掛けて「農道のポルシェ」とまで評されていた。
1961年にデビューした初代から四輪独立懸架を採用していたのも軽商用車としては異例で、この点においても路面追従性や乗り心地においてライバルから頭ひとつふたつ抜き出た存在だったのだ。
赤帽ドライバーに圧倒的な支持を受けていたのも広く知られた話だ。
オフロードであればジムニー、そしてオンロードであればサンバー。これが間違いなく軽自動車の双璧であろう。
そこへWRブルー・リミテッドの登場である。サンバーの登場50周年を記念した限定車として登場し、生産台数はトラックとバンを合わせて1000台だった。
エンジンは最高出力46ps、最大トルク5.9kgmの直4SOHC自然吸気のみとされ、トランスミッションは5速MTか3速ATが選べた。
当時の車両販売価格はトラックが89万9000円〜111万8450円、バンが117万9000円〜140万8950円。
なんといっても目を惹くのはWRCに参戦していたスバル・インプレッサWRCと同じ鮮烈なWRブルー・マイカを身にまとったエクステリアだ。大きなロゴやデカールがなくても、ひと目でインプレッサWRCを想起させるのがすごい。当時のスバルが、いかに強烈なアイデンティティを築き上げていたのかを物語る。
面白いのは、かつてインプレッサWRCに描かれていたメインスポンサーの「555」(たばこブランド)や大きな六連星(スバルのエンブレム)が鮮やかなイエローだったため、軽自動車の黄色ナンバーも見事にWRブルー・マイカに似合ってしまうということ。
そのほか、専用のブラックシートなども備え、インテリアにもどことなくスポーティなムードを漂わせていた。
そして案の定、このサンバーWRブルー・リミテッドは発売開始後またたく間に完売となってしまったのである。
そんなスバル製サンバーも2012年を最後に生産が終了し、七代目はサンバーの名前こそ引き継ぐもののダイハツからのOEM供給モデルとなってしまった。生産終了直前には赤帽ドライバーによる六代目最終型の駆け込み需要も高かったという。
こうして伝説の存在へと昇華したサンバーだが、六代目であればまだまだ選択肢は豊富にある。
とはいえWRブルー・リミテッドとなるとタマ数は限られ、当然ながら価格も高値を維持している。コンディションによってまちまちではあるが、相場はざっと80万円から180万円ほどといったところだ。つまり新車とほとんど変わらないどころか、極上車にはプレミアがついてしまっているということである。
「探すのが大変なら、全然ジムニーの代わりにならないじゃないか」って? いえいえ、今はまだ探しても見つからないというほど個体が少ないわけではないし、見つけさえすれば中古車ゆえにすぐに納車されるわけだから、魅力的な選択肢であることに間違いはない。
言い方を変えれば、今ならまだ優良な個体に巡り会える可能性は高いし、新品パーツを調達しての完全初期化もそれほど難しい話ではない。
新型ジムニーを見て物欲モードに突入したアナタ。サンバーWRブルー・リミテッドも選択肢に加えて、楽しいクルマ選びに頭を悩ませてはいかが?