REPORT●ケニー佐川(SAGAWA Kentaro)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)/ホンダ
乗り味も大きく変わった。エンジンは吸排気系の見直しや各部のフリクション低減などにより若干パワーアップしているとのこと。スペック的には最大トルクで0.1kgmアップに留まるが、車体が軽くなったこともあり軽快感が増している。小気味よい鼓動感を伴ったサウンドもしっかりチューニングされ、加速もスムーズで力強い。80km/hまで一気に加速するパワー感はさすが250ccクラスだ。
ハンドリングもよりスポーティかつ高速安定性も向上している。フレーム剛性の見直しと前後タイヤの15/14インチへと大径化により、試乗したテストコースの高速コーナーでも余裕の安心感。車体やサスペンションなどの足まわりにもカチッとした剛性感があるのだ。また、スラロームのように低速コースでも自然な操舵フィールで、タイトターンでもスクーターにありがちな切れ込みやヨレ感もなく、軽快なフットワークを楽しめた。
電子制御も本格的で、ABSやトラコン、電動スクリーンやスマートキーなどの先進装備も充実。特に感動したのが電動スクリーンだ。無段階調整式で手元のボタンひとつで瞬時にフルアップ状態にできる。街乗り程度からでも整流効果を実感できて、風切り音などのノイズもカットしてくれるのでとても快適。フルフェイス2個が余裕で収まる大容量トランクスペースなども含め、スクーター本来の利便性とスポーツ性能がともに底上げされた完成度の高いモデルだと思う。
さて、多くのユーザーの関心事は「新型フォルツァとXMAX、どっちがいいの?」ということだろう。今回は同時に乗り比べてはいないので迂闊なことは言えないが、以前に試乗したXMAXの印象とデータから検証してみたい。
ほぼ同時に登場した新世代250ccスクーターということで、奇しくもスタイリングからスペック、価格までも酷似している。細かく見ても、水冷4スト単気筒OHC4バルブのエンジンレイアウトや最高出力・最大トルク値も同一。120/70-15、140-70/14の前後タイヤサイズと前後ディスクブレーキ、そしてLEDヘッド&テールライト、前後ABSやトラクションコントロール、スマートキーを標準装備としている点まで一緒。さらにヘルメット2個+αが余裕で収まるシート下スペースや2連アナログメーターと多機能ディスプレイを組み合わせたコックピットのデザインまでよく似ている。
まさに間違い探しのようで違いを見つけるほうが難しいのだが、目立って異なる点といえば、フォルツァには電動スクリーンが装備されミラーがカウルマウントであること。一方のXMAXはボルト固定式ながらスクリーンとハンドル位置を調整でき、ミラーはハンドルマウントとなっている。その他、燃料タンク容量はフォルツァが11ℓに対しXMAXは13ℓで、スペック的な燃費はほぼ同じことからフルタンクでの航続距離は単純計算でXMAXが有利ということになろうか。
まさにガチライバルとも言える2台だが、乗り味としてはそれぞれに個性があると思う。車格は若干XMAXが大きめだが、車重は逆に5㎏軽いためかフットワークも軽く感じた記憶がある。モーターサイクル型のフロントフォークを備えたXMAXはハードブレーキングでの安定感もバツグンだった。
一方、フォルツァはどっしりとした高速安定性が印象的で、前後サスペンションなどもカチッとしている。そして、実用的で見た目もカッコいい電動スクリーンの魅力はやはり大きい。パワー感などは甲乙つけがたいか。繰り返しになるが同時に試乗していないため、ざっくりとした印象でしかないことをお断りしておく。
いずれにしても、時代の最先端をゆく2台であることは確かだろう。実際のガチ対決はまたいずれレポートしたい。