写真でご覧いただけるように、Aピラー根元が近くに寄り立っていることで前方視界が良い。それにともないダッシュボードの奥行き寸法にも無駄がなく、車両感覚がつかみやすい。また、ミラーステーがドアマウントになったことでサイドガラスから前方死角が少なくなり、Aピラーとドアミラーの間からも視界が得られているのも非常にうれしい点だ。
強いて個人的な難をあげるとすれば、メーターのホワイトパネルは少々明るすぎる印象である。ただしこれについてはプレゼンテーションで訴求ポイントとしてあげていたこともあり、力を入れているところだと思われる。
いろいろ試してみたのだが、広報写真そのものズバリの画角は得られなかった。とはいうものの、左後方の死角は少なく、サイドミラーと合わせて考えれば「気がつかなかった」ということはなさそうだ。後ドアとハッチのガラスはスモークド仕様の着色ガラスなのだが、その影響も少ない。
広報写真のステアリングを握る手は女性のものだろう。着座位置は当方よりも低いはずで、だとすると少々ボンネットはよく見えすぎだろうか。また、本来ならバックミラーも視界に入るはずで、広報写真は少々さっぱりしすぎている印象だ。
いっぽう、自身の視線を確認してみると、フロントウィンドウ下端にはワイパーが視界にあるものの、その奥にはちゃんとボンネットと車両前端が見える。先日某車に乗ったところ、シートハイト調整機構が備わっているにもかかわらずどんなにシートポジションをいじってもワイパーしか見えなくて往生しただけに、トコットの設計には好感を覚えた。
また、先進安全装備「スマートアシストIII」のためのステレオカメラは基線長が世界一短い小型設計ながら、やはりバックミラー上方の視界は遮られてしまう。万一の際に助けてくれるシステムだけに、このあたりは痛し痒しである。
というわけで、広報写真は真実を伝えていることがわかった(当たり前だ)。ダイハツさん、疑って申し訳ない。オッサンが乗ってもトコットの静的なキャビン設計は優れていて、視界が優れていることはクルマの印象をより良くするのだと再認識した次第である。