1. サインした場合
「違反を素直に受け入れ、反則金を払う代わりに正式裁判を受ける意思がないことを認めること」。
この場合は、告知を受けた日の翌日から起算して7日以内に反則金を納めれば一件落着。
2.サインしなかった場合
「交通反則通告制度の適用を拒否し、正式裁判によってシロクロを付けることを要求する意思を示すこと」。この場合は、即、送検されるわけじゃなく、しばらくは交通反則告知センターというところから「早く反則金を払え」あるいは「事情を聞きたいから出頭しなさい。しないと刑事裁判で裁かれることになりますよ」という通告を郵便で受けることになる。
では、不起訴となるまでの実際の過程を実例を元に追ってみよう。
☆Yさんの場合
事の経緯はこうだ。とある一定の時間帯は一般車の進入を禁止している区間(スクールゾーン)に進入してしまい、ゾーンのまっただ中で取り締まりを受けたが、「危険な違反を未然に防ぐ」という原則を無視した待ち伏せにも等しい取り締まり方法に納得がいかず、「結果的に違反はしてしまったが、納得がいかないのでサインはしません」と警察官に宣言。青切符と反則金の納付書を受け取らず、そのまま帰宅したという。
ちなみにYさんは言い分を記録に残して欲しかったので警察官に調書をとることを要求したが、「そんなもの必要ない」ととりあってくれなかったそうだが、これは完全に警察の落ち度だ。
すると、後日(納付期日から大体40日後)、交通反則通告センターというところから「10日以内に反則金を納付しなさい」という督促状が本納付書とともに郵送され来た。が、正式裁判の場で争うことを辞さないNさんはこれを無視。その後も督促状や出頭要請が何回か届いたが相変わらず無視し続けていると、取り締まりを受けた半年後についに区険(区検察庁)から出頭要請があり警察から検察へ送検されたということを知る。が、指定日に出頭し、検察官に取り締まり方法に納得がいかない旨と調書を拒否されたことなどを伝えたところ、それを最後に音沙汰がなくなったそうだ。
ただし、取り締まりを受けた日から2年後の免許書き換え時には通行禁止違反の点数、2点が付いていた。「刑事処分と行政処分は別」、まさに警察の言い分通りだ。
というわけで、とりあえず不本意ながらも自分の主張を押し通すことができたYさんだが、とにかく、不起訴にいたる流れは大体、こんな感じだ。もちろん、これは1例に過ぎずあくまでもケースバイケース。交通反則告知センターからの督促の回数もまちまちだ。中には2年近く督促が続いたものの、結局、区険からの呼び出しもなく、そのままお咎めなしになった例もある。ちなみに不起訴になったからといって区険から通知があるわけではなく、問い合わせないとわからないといのもおかしな話だ。
注意したいのは、不起訴率は確かに100%に近いが、決して100%ではないということ。例えば、送検され、区検からの出頭要請を無視した場合、逮捕→起訴となる場合もないわけじゃない。送検されたということはすでに反則行為から刑事事件に移行したということであり、送検されれば「被疑者」、起訴されれば「容疑者」となるということは覚えておこう。もちろん、裁判に負ければ「犯罪者」の汚名を背負うことになる。
だから、違反にまったく身に覚えがなかったり、一時停止場所での待ち伏せや、覆面パトカーによる追い上げ等、納得ができなかった場合などは正々堂々と戦うのもありだが、違反を自覚し認めるのならば、素直にサインしたほうがいい。
最後に闘う場合の注意点をあげておこう。
1.サインを拒否する場合は必ず調書を取ってもらうこと。また、調書の最後に「以下余白」入れてもらい警察官が都合のいいことを書き足すことを阻止しよう。
2.区検からの呼び出しには必ず応じること。また、その際、検察官が「略式裁判」を勧めてくる場合が多い。略式裁判は99%負ける代わりに罰金(金額は反則金同等)で済むが、自分の言い分を主張する余地はない。つまり、その時点で負けを認めることになり、始めから反則金を払った方がマシ。正々堂々と闘いたいのなら通常裁判を希望するべきだ。
3.起訴され、正式裁判になると裁判所から「特別送達」が届くが、これを無視すると欠席裁判となり、原告の主張をすべて認めたことになる。まさに本末転倒だ。