またラスト1時間というタイミングでエンジンが動かなくなるトラブルも発生。これは日付けが変わる頃から降り始めた雨の影響で、20時間が過ぎようというタイミングで濃霧が発生し、コースが全く見えない危険な状況になってしまった。そこでレースは一旦中断する訳だが、その時に雨にさらされたマシンに水が溜まり、電気系のトラブルを引き起こしてしまった。思いもよらない部分でのトラブルだった。なんとか修復し残り15分でコース復帰し、かろうじてチェッカーを受けてクラス優勝を果たす事になった。メカニックが何度もイレギュラーなトラブルを解決して優勝を手に入れた。
そんなスバル/STIは2008年からWRX STIでニュルブルクリンク24時間レースに参戦している。メカニックやエンジニアはSTIの社員で、普段はレースマシンの開発やデータ解析、市販車に装着するSTIパーツの開発などを担当している。SUPER GTにもSTIのメカニックやエンジニアは参戦しているが、レース専門のメンテナンスガレージとは違い、通常業務と並行しながらレース用のエンジンやシャシー、空力などを開発している。
彼のような若手が参戦しレースの世界の厳しく激しい整備を知ることで、その事を地元に帰って仲間に話す。そして次の人材へ繋がっていく。これがスバル目指している人材育成なのかもしれない。と感じられたニュルブルクリンク24時間レースだった。
(文・写真/雪岡直樹 Naoki Yukioka)