フルモデルチェンジから約1年ぶりにマツダの旗艦車種CX-5が商品改良を行なった。マツダが昨年8月に発表した「サステイナブル“ZOOM-ZOOM”宣言」を具現化するため、ガソリンエンジン「SKYACTIV-G 2.5」は、気筒休止機構を採用した新型エンジンへと進化させた。


TEXT◎野﨑博史

低負荷領域で気筒休止により擬似小排気量運転 まずはCX-5から

新型CX-5のハイライトは、ガソリンエンジン車への気筒休止技術の採用だが、ディーゼルエンジンには、CX-8に搭載する急速多段燃焼を採用したSKYACTIV-D 2.2をラインアップする。低中速トルクの改善により伸びやかな加速性能を実現する。

CX-5に搭載されるガソリンエンジン「SKYACTIV-G 2.5」は、世界一の高圧縮比(14.0:1)や耐ノック技術の採用により、実用運転での燃費の良さと、意のままの走りを両立するため適切な排気量を確保している。いわゆるライトサイジングの考え方なのだが、排気量の大きさゆえに、軽負荷領域やエンジン冷間時の燃費効率では、ダウンサイジング過給エンジンに劣る領域があった。「世界一のエンジンというとるのに負けとるやないか」と、マツダのエンジン設計の重鎮から叱咤があったとかなかったとかで、その課題を解決するため、これまでの優れた燃焼技術による基本性能をベースに、今回の商品改良では、マツダとして初めて気筒休止技術を採用した。

進化の狙いである地球環境への貢献、走る喜びの提供に対して、気筒休止(2.5のみ)以外にも、耐ノック性の向上、機械抵抗の低減、壁面温度制御、燃料噴霧改善など、燃焼技術や抵抗低減技術を中心に細かく改良を加えている。

気筒休止自体は他メーカーでも採用している例はある。一般的に排気量の大きいV6やV8といったエンジンがメインで、V型の片側のバンクを休止させることが多いが、直列4気筒のSKYACTIV-G 2.5は、1番と4番を気筒休止する。例えば、高速道路をクルージング走行しているような軽負荷領域では、1番と4番の吸排気バルブを閉じ、2気筒のみを使用して擬似的な小排気量運転を行なう。これによって低負荷でもスロットルバルブを大きく開くことができ、ポンプ損失を少なくするとともに、燃焼する気筒数が4気筒から2気筒になれば冷却損失も抑えることができる。つまり、気筒休止を組み合わせることで、SKYACTIV-Gの持つ高効率な運転領域を低負荷領域まで拡大でき、実用燃費を改善している。もちろん、加速時などパワーが必要なときはアクセルを踏み込んでやれば、本来の排気量に戻すことができる。

黒の実線がSKYACTIV-Gの燃費効率で、気筒休止させた場合の比率が赤線になる。この燃費率カーブをもとに、走行状況に応じて燃費が良いほうを判断して気筒休止を行なう。1000〜4000rpm弱の範囲で切り替えを行なっている。
情報提供元: MotorFan
記事名:「 マツダのSKYACTIV-Gは気筒休止技術でまだまだ進化する。CX-5にSKYACTIV-G 2.5に気筒休止を採用