既存の無線LANは、基本的に一つの無線チャネルを使用して無線通信を行う。無線LANが通信に使用する周波数帯は免許不要で利用可能であり、様々な無線機器等で共用して使用しているため、いつどのタイミングで無線チャネルが使用されるかを事前に把握できない。そのため、無線LANがデータの送信を行う場合には、通信に使用する無線チャネルの状態を確認し、空き状態であることが確認できた場合にだけ送信を行う仕組みが採用されている。
無線機器の数が増えてトラフィックが増加すると、空き状態となる時間が短くなり、無線機器の間でデータ送信の権利を得るために競い合う状態となる。このような場合、各無線機器は自身が送信したいタイミングでは送信できず、送信までの遅延時間が大きくなるなどしてスループットが低下し、十分な通信品質が得られなくなる問題が発生する。
そのため、良好な通信品質を保ちつつ今後も増え続ける無線LANトラフィックを収容するために、限りある周波数資源をより効率良く利用可能な無線LAN技術が強く望まれていた。