ところが、可搬式オービスを導入すれば、可搬式という名のとおり、持ち運びも簡単で路肩や歩道のわずかなスペースに簡易な設置で取り締まれるし、その場で切符を切る必要がないからスペースも必要ない。確かに機器そのものは安くはないが、人員は最小限(無人とはいかず現認係が必要)で済むので費用は人件費節減で回収可能。まさに警察にとっては願ったり叶ったり、ということになる。
すでに、この可搬式移動オービスは、全国各地で稼働中だが、いまだに青切符レベルの違反で呼び出しが来たという情報は入っていないので、固定式と同じく、検挙されているのは赤切符レベルの違反者のみということのようだ。しかし、生活道路の制限速度を考えれば、効率が悪いことこの上ない。30km/h制限道路を30km/hオーバー以上で走るというのは、高速道路や幹線道路に比べてはるかにリスクが高いからだ。そもそも生活道路での取り締まり強化は、青切符レベルの違反でもきっちり取り締まることで、周辺住民の安全を守ることが目的だけに、従来通りの取り締まり方法では意味がない。
つまり、「無人でドライバーの顔を撮影できるのは犯罪(赤切符レベルの違反)が行われている時に限る」という判例を警察がどう覆すのか、それが、今後の焦点になることは間違いないのだ。
これはあくまでも噂だが、警察は将来、駐車違反(放置駐車違反)と同様に、スピード取り締まりも民間に委託し、所有者責任にしようとしているのではないか? という説が、最近、巷でまことしやかに囁かれている。
もし、これが実現するとすれば、可搬式移動オービスの使用方法を講習で学んだ民間業者がスピード違反車の速度を計測し、警察署に報告、その通知が所有者の元に届けられ、所有者が罰金(反則金)を払うということになる。となればドライバーを特定する必要がない=プライバシー問題は関係なくなるというわけだ。さらに、徴収されたお金はすべて警察が自由に使えるというおまけ付き。
果たして、スピード違反まで所有者責任となるのか? スピード違反でも誰も罪悪感を抱かなくなる日が来るのか? 興味津々です。