希薄燃焼システムは点火前の燃料と空気の混合を向上させる。よく混ざることで混合気の完全燃焼の割合が増え、結果として有害なNOxなどの排出量が低下する。今後さらに成長が進み利用者が増える航空機産業には経済的にも環境的にも必要不可欠な性能だ。ロールス・ロイスがコンセプトとして掲げている「インテリジェント・エンジン」の実現にはこのALECSysシステムは大きな役割を果たすだろう。
同社のALECSysの開発はEUのクリーン・スカイSAGE (Sustainable And Green Engine)プログラムから資金を支援されている。
ロールス・ロイス UltraFanプログラムのチーフエンジニアAndy Geer氏は
「このALECSysシステムがやっと実現できて非常に誇らしい。このデモエンジンの改良をさらに進めることによって、さまざまなメリットを我々のカスタマーに提供することができる。非常に楽しみだ」
とコメントした。
今回のALECSysの初試験はロールス・ロイスが「キー・テクノロジー・マイルストーン」として掲げているふたつの技術が成功のカギとなった。
・昨年11月に初試験に成功したAdvance3試作エンジン。これはロールス・ロイスが開発を進めているUltraFanと同じコア構造を持っている。
・昨年9月に70,000hpの記録を達成したパワーギヤボックス。これによりUltraFanは高いバイパス比を保ったまま出力向上が期待できる。
UltraFanはワイドボディ、ナローボディ機両方に対応でき、第一世代のロールス・ロイス Trentエンジンに対して25%の燃料効率の向上が期待されている。
今回の試験ではALECSysシステムを取り入れたTrent 1000エンジンにて試運転がされた。