GMが、ステアリングホイールとABCペダルのないクルマの可能性を示唆した。なんと、2019年の登場予定だという。自律運転車がわれわれの前に姿を現すのは、そんなに遠い将来のことではないらしい。

交通事故のない世界を想像してみてください。私たちの自律運転車は交通事故のじつに94%もの遠因となっているヒューマンエラーを一切除き、死傷者を大幅に少なくします。




BEV(電動自動車)シェアの拡大を想像してみてください。自動車の排ガス問題が大きく改善されることがわかります。私たちの自律運転車はBEVであり、地球環境改善に寄与します。




人生の半分を占めるようにも思えるような渋滞に巻き込まれない世界を、街や駐車スペースが混雑していない様子を想像してみてください。市街地を走るおよそ3台に1台は、駐車する場所を探してうろうろしているだけといいます。私たちの技術なら、もっと効率的に時間を使うことができます。すべての人が。




年齢やおかれている状況にかかわらず、体の衰えにも構わず、行きたいところにいつでも行けることを想像してみてください。私たちの自律運転車は加齢や障害などにより、いまでは難しいかもしれない移動の世界を、大きく変えます。




私たちをこうした新しい世界に導くためには、シリコンバレーのソフトウェアとデトロイトの製造技術が統合される必要があります。こと安全に関して、われわれは次のステップに進む準備が整いました。


(以上、GMのプレスリリースより)

リリースからは何もわからない

違う。われわれはこんなことを聞きたいのではない。この奇天烈なクルマがどんな仕様で、いつ路上に現れるのかが知りたいのだ。




ハンドルもない、ペダルもないこの奇妙なクルマの名前は「クルーズAV」。どうやら2019年に登場するらしい。なんと、来年である。GMの自律運転開発車としては第4世代にあたり、昨2017年に本格販売が始まったシボレーの“Bのほう”のボルトがベース。つまりリリースに記載があるようにBEVである。

スマートフォンをはじめとするアプリケーション経由の配車サービスに供され、完全自律運転によるクルマの移動を提供する。4名乗車仕様。クルマとは、画像にも示されているようなスクリーンを介してコミュニケーションを図る仕組み。メインディスプレイが少々左側に向いてセットされているのは、「旧助手席」である右前席がこのサービスにおいてもっとも着座率が高いことを想定してだろうか。




本サービスにおけるクルーズAVは、マップシステムに沿った定められたルートを走行する。自動運転レベルにおいては「4」の相当だ。しかしハンドルもペダルもないとなると、公道を走るためには当然ながら法規対応の変更が必要になる。GMはNHTSA(米国運輸省道路交通安全局)へこれらの車両に対する請願書を提出、従来車両と同等の安全性能を有することが証明できれば、現在の法規制では一社あたり年間2500台までの登録が認められている。




「運転する楽しみが削がれる」という心配は、こういうクルマでするものである。自律運転とドライバーアシスタンスを混同してはいけない。そもそも、バスやタクシーを利用するときに「運転する自由」とやらを主張するだろうか。完全自律運転とは、そういうサービスであり、円滑で安全な交通環境の醸成には非常に有用である。現状の奇妙が普通として当たり前になるのは果たしていつのことだろうか。

自律運転のためのデバイスは、すでにおなじみのもの。5カ所のLiDAR、16個のカメラ、21個のレーダで車両周囲360度を常時監視測距する。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 GM:ハンドルもペダルもないクルマの登場