今回登場した新型アドレス125は、外装もエンジンも、車両名にも変更を加えたフルリニューアルモデルである。全体的に大人しい外観デザインで、斬新さや奇抜さこそ見あたらないが、ただ全体にわたって細々と熟成進化されている。
その筆頭がエンジンである。SEP(SUZUKI ECO PERFORMANCE)と呼ばれクリーンかつエコロジーな最新鋭エンジンを搭載。平成28年排出ガス規制にも対応し、燃費もWMTCモード値で51㎞/Lというなかなかの好データを誇る。
エンジン冷却は走行風を利用する強制空冷式、シリンダーヘッドもSOHC2 バルブ単気筒という、スクーターで多くみられる機構を採用している。52.5×57.4mmというボア・ストロークは、アドレスV125S(53.5×55.2mm )よりもさらにロングストローク型へとシフト。9.4ps という最高出力の発生回転数も旧型より500 rpm低い7000rpmで発生している。傾向としてエンジン回転を上げなくても十分なトルクを発揮してくれる。そんな出力特性は、実用上もアクセルの開度をセーブでき、燃費性能の向上と静かな走りに直結しているようだ。
動弁系にはフリクションの少ないローラーロッカーアームを採用。シリンダーやピストン及び同リングもフリクションロスの低減化を徹底。燃焼室も燃焼状況を効果的に促進するM-スキッシュを新開発。バルブ形状も独特の最適加工が施された。
スロットルを開けると適正にセットアップされたCVT がスムーズかつ強かな加速性能をみせつける。特に出だしが俊敏な印象で、60㎞/h当たりにかけて徐々に穏やかになる。クイックかつ軽快な乗り味は混雑した都市部の道路をチョコマカと機敏に走る上では好都合かもしれない。ただ、ツーリング用途となると操縦性にもっと落ち着きを求めたい気分にもなってくるが、さすがにこんなイレギュラーな使い方をする人は少ないだろう。
■アドレスV125諸元(221,400円)■
・型式:2BJ-DT11A
・全長 / 全幅 / 全高:1,900 mm / 685 mm / 1,135 mm
・軸間距離 / 最低地上高:1,285 mm / 120 mm
・シート高:745 mm
・装備重量 :109 kg
・燃料消費率:定地燃費値52.0 km/L(60km/h)2名乗車時/WMTCモード値51.0 km/L(クラス1)1名乗車時
・最小回転半径:2.0 m
・エンジン型式 / 弁方式:AF22・強制空冷・4サイクル・単気筒 / SOHC ・ 2バルブ
・総排気量:124 cm3
・最高出力:6.9 kW〈9.4 PS〉/ 7,000 rpm
・最大トルク:10 N・m〈1.0 kgf・m〉/ 6,000 rpm
・燃料供給装置:フューエルインジェクション
・始動方式:キック・セルフ併用式
・潤滑油容量:0.8 L
・燃料タンク容量:6.0 L
・クラッチ形式:乾式自動遠心シュータイプ
・変速機形式:Vベルト無段変速
・フレーム形式:アンダーボーン
・ブレーキ形式(前 / 後)油圧式シングルディスク / 機械式リーディングトレーリング
・タイヤサイズ(前/後):90/90-12 44J/100/90-10 56J
・乗車定員:2名
・排出ガス:基準平成28年国内排出ガス規制に対応