スズキは、難波さんがデザイナーとしてのキャリアをスタートさせた会社。その意味ではここも古巣。本命のe-SURVIVOR(イー・サバイバー)の前にまず、眼に入ったのは、XBEE(クロスビー)だった。

これが1.0ℓエンジンを搭載したXBEE(クロスビー)

ーこれは、スズキのXBEE、エックスビー? あ、クロスビーっていう、これもコンセプトですよね?


難波「でも、もう売るんでしょ? 売りますよ。もう、たくさんありますよ。うん。市販モデルでしょ」




ー1.0ℓターボですね。


難波「ですよね。ハスラーのお兄ちゃんなんですよ。そういう意味で言うと、マル! これ、コンセプトカーじゃないから、マル! って言っても仕方ないんだけど(笑)。すごく楽しいと思いますよ。……あっちがコンセプトカー」(と言って、前方にあるe-SURVIVOR(イー・サバイバー)を指さす。




(じっくり見る)




難波「これ、これはですね……」




ー次期ジムニー?


難波「ジムニーじゃないですね。e-SURVIVOR(イー・サバイバー)。ラダーフレームが入ってるって、昨日のプレスカンファレンスでは発表していました。ぱっと見、ラダーフレーム付には全然見えなくて、どこがラダー?て思いましたけど、でも、そのジムニーの思想をちゃんと守ったラダーフレームをベースとした四駆のコンセプトカーだって、昨日、社長が言っていましたよ。これそのものは、とても楽しいじゃないですか。で、ねぇ、ジムニーの走破性の高さみたいなものもちゃんと魅せる、楽しく見えてる。まあ、現実的になるかは別としても、そういう世界観です。昨日も社長さんが“スズキはワクワクするブランドになりたい”って言っていましたから」

「確かに、これ、なんか楽しそうですよ。すごく面白そう。盛り上がりますよ。細かいところ見ていくと、本物じゃないって思いますけど。もちろん、ショーモデルなんですけど。あ! そうだ! これね、面白いことがある! 後ろ後ろ!(と言ってクルマのリヤ側に回る) あそこにサイのマークがあるでしょ? あれ、ジムニーのタイヤカバーに最初の、最初っていうか最初のジムニーじゃないな、まあ、ボクが入社したときに出たジムニーがあるんですけど、そのときのタイヤカバーの画なんです。




ーそのままなんですか?




難波 ちょっとモダンにアレンジしているけど、基本はそのまま。基本は。で、このサイのデザインは、ワタクシ!




ーえええ!? そうなんですか?




難波 いまから30年以上前のボクの、あの、そうですこれ、世界中のジムニー乗りの中で、ジムニー大好きな人たちのなかで、意識がひとつにまとまるカタチなんですよ。あれ見ると“ああ、ジムニーだ”ってわかるんですよ。




ーそうなんですね。




難波 だって、いまだに新品でこのサイのマークがついたタイヤカバー買えるんですよ。売ってるんですよ。




ーええ! すごい!




難波 でしょう(かなりうれしそう)。ところがね、ちゃんとね、オリジナルはそのタイヤカバーですけど、ちゃんと彼らはね、1ヵ所、違えているところがあるんですよ。目玉がない。ボクはちゃんと目玉、つけるの。あとでネットでタイヤカバー、サイのタイヤカバー調べてみたら、これとの差がわかりますよ。でも、ほとんどオリジナルのサイのマークをそのまま使ってる。うれしいですよ。ボク、大変うれしい。それでね、あと、このコンセプトカーはね、ロールバーのところにカバーがあるでしょ、あれ、取り外しができるんです。外すととロールバーが出てくるの。で荷室の、いま上に蓋がしてあるけど、あれ取れるの。そうするとね、ちゃんとモノが積めるスペースが出てくる。その姿を見ると、あ、これやっぱりジムニーだって、ちゃんと思うよね。その差が、ヤマハのさっきのピックアップとの差ですよ。これは真面目にちゃんとジムニーをコンセプトにしてる。そこが案外違うんです。

これがそのサイのマーク

情報提供元: MotorFan
記事名:「 難波治のデザインウォッチング 東京モーターショー編 6 スズキ e-SURVIVOR(イー・サバイバー)