契約にあたり、かずさDNA研究所は
「研究開発機関での利用にとどまらず、広く民間企業にも利用されていくことが期待される」、
ユーロフィンジェノミクスは
「この技術の特長である多数のDNAサンプルを低コストで簡便かつ迅速に解析できることは、さらなる研究を後押し、広く世界が抱える食糧やエネルギー問題へも大きく寄与していくだろう」、
ジーンベイは
「多量のDNAとデータの取得が必要というのが業界の常識で、それが技術の普及や実用化のハードルになっていた。農業や畜産業のほか、多くの産業で広く活用されることが期待される」との評価、期待を示した。
「GRAS-Di」は、品種改良全般に応用できるため、農業にとどまらず、畜産業、林業、水産業など業界を問わず、幅広い展開が期待される。なお、トヨタは、今後もグローバルに事業を展開する企業などに導入してもらうことで、バイオ燃料や食糧の増産、作物の耐病性向上など地球規模の課題への貢献につながると考えている。引き続き、積極的に情報開示・提供に応じ、さらなる技術の普及に努めていく。
トヨタは21世紀の人口・食糧・環境問題に備え、本業である自動車産業の持続的成長を支える「環境貢献型」の事業が必要と考え、1999年5月に愛知県みよし市に、「バイオ・緑化研究所」を設立し、研究開発・実証を軸に事業活動、地域・社会貢献活動に取り組んできた。
2011年3月に発表した「トヨタグローバルビジョン」では、「もっといいクルマ」づくりに加えて、「いい町・いい社会」づくりに貢献してこそ、「企業の持続的成長」と「安定した経営基盤の構築」が可能になるとの考えを示し、同年4月には、農業の持続的な成長に貢献することを狙いとして、米生産プロセスの改善に着手。自動車事業で培った生産管理手法や工程改善ノウハウを農業分野に応用する試みを始め、2014年4月にはトヨタ生産方式の考え方を農業に応用したクラウドサービス「豊作計画」を開発。トヨタならではの改善支援サービスもあわせて提供し、農業生産現場における生産性向上と改善人材の育成を進めてきた。
現在、バイオ・緑化研究所では「環境貢献分野」と「農畜産業分野」の2つの分野で、基盤技術の研究から作業現場の改善まで、幅広く「いい町・いい社会」づくりに貢献すべく事業に取り組んでいる。
かずさDNA研究所
1991年に世界初のDNA研究機関として千葉県木更津市に設立。「かずさアカデミアパーク」の中核施設としてゲノム研究を中心とした生命科学・技術に関する研究および産業支援・社会貢献に努める。
ユーロフィンジェノミクス
世界41か国に375の分析・試験研究所と30,000人以上の従業員を抱える世界的なバイオ分析企業。その一翼を担う、ジェノミクス事業部門は日本、アメリカ、ドイツ、インドに拠点を置き、オリゴDNA合成、人工遺伝子合成、次世代シーケンス解析をはじめ、ゲノム研究・開発における製品・受託サービスをグローバルに提供。
ジーンベイ
最先端のゲノム解析などバイオでのIT解析技術を幅広く提供する受託サービス系新興企業。食品、医療、エネルギー、農業、化学、環境など幅広い領域でサービスを提供し、ゲノム情報解析のコンサルティング、解析受託のほか、事業化・実用化に向けた研究支援などを行う。バイオとITの融合により、ゲノム情報を利活用できる社会の実現を目指す。