このように学生フォーミュラは、車両の企画・設計・製造・実走行に至るまで、市販車と全く同様の“ものづくり”を経験できる競技内容となっている。
それもそのはず、学生フォーミュラの大会趣旨は「主役である学生が自ら構想・設計・製作した車両により、ものづくりの総合力を競い、産学官民で支援して、自動車技術ならびに産業の発展・振興に資する人材を育成する」。
開発プロセスにおけるトライ&エラー、レース中に発生する突発的トラブルなどを乗り越えて心身を鍛え上げた、自動車関連企業の製品開発現場で即戦力となる人材を、実戦形式で育て上げることに他ならない。
そのため各チームは学生・教員だけで戦うのではなく、OBのエンジニアやその所属企業、大会への協賛企業などから物的・金銭的そして人的支援も受けながら、マシンを開発・製作し参戦。プロのモータースポーツに勝るとも劣らない次元でチームの総合力が問われる極めて本格的な競技となっている。
今大会ではレギュレーションが変更されたにも関わらず、京都工芸繊維大学、横浜国立大学、名古屋工業大学、日本自動車大学校、芝浦工業大学など、前回大会で上位入賞したカーナンバーの若いマシンが競技序盤から上位争いを占め、これに初めてチーム単独でEVを製作し参戦した2014年大会の優勝校・名古屋大学も加わる展開。
7日から行われた動的審査では、1回目のオートクロスで名古屋工業大学が57秒588のベストタイムを叩き出せば京都工芸繊維大学が57秒132で更新し、名古屋工業大学はその直後の2本目で56秒237でトップを奪取。その後で出走を予定していた京都工芸繊維大学は、他校マシンのオイル漏れで長時間待機を余儀なくされるも、タイヤ温度の低下をものともせず、55秒744のファステストタイムを記録するという、息もつかせぬデッドヒートを繰り広げた。
5日間の激戦の末、オートクロス以外の競技でも着実に上位に着けた京都工芸繊維大学が、総計849.23点もの高得点をマークして、2年連続3回目の総合優勝を達成。2位に芝浦工業大学(780.36点)、3位に名古屋工業大学(775.70点)が続き、名古屋大学がEVクラストップの766.50点で総合4位に着けた。