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昨年4月にデビューしたRAV4に、プラグイン・ハイブリッド仕様が追加となった。プラグイン・ハイブリッドとは、外部からも充電できるようにしたハイブリッド車のこと。一般のハイブリッド車よりたくさんの電池を積んでおり、充電した電力がなくなるまでは、電気自動車(EV)として走ることができる。
RAV4 PHVは、ざっくり言うと“RAV4ハイブリッド車のニッケル水素電池を大容量高出力のリチウムイオン電池に載せ替え、フロントモーターの出力を1.5倍に高めた”という仕様。走行用バッテリーは床下に吊り下げられているため、居住性や使い勝手には影響を与えていない。
バッテリーの総電力量は18.1kWhと、先輩であるアウトランダーPHEVの13.8kWhより約3割多い。EV走行できる距離はアウトランダーPHEVの57.6㎞に対し、RAV4PHVは95㎞に達する(等価EVレンジ)。実力をこの8割と見込んでも、日々の通勤や買い物ならば電気自動車として使えそうだ。
ただし急速充電には対応しておらず、充電時間は200Vの単相3線式で約5時間30分、通常の家庭用100Vでは約27時間となるため、自宅に駐車場があり、200V電源が引ける環境でないと使い勝手は悪いだろう。
しかし急速充電では電池容量の80%までしか充電できないし、バッテリーの劣化も速くなる。出先で電池がなくなったとしても、ハイブリッド車(HV)として走れるのだから、急速充電に対応しなかったのはトヨタの「見識」と言って良い。
そんなRAV4 PHVの加速性能は「強烈!」のひとこと。エンジン駆動も含めたシステム出力は225kW(306ps)あるが、モーターだけでも圧倒的な加速が味わえる。なにしろ前後モーターの最大トルクを合わせると391Nm(39.9kgf‐m)。
数字だけなら4.0Lの自然吸気ガソリンエンジン並みだが、電気モーターはアクセルを踏んだ瞬間から最大トルクが出せるから、もはや「別次元の加速感」というほかはない。
もちろんエコドライブも大得意。EV走行時でも下り坂で回生エネルギーを稼げば、メーターに表示されるEV走行可能距離が増えるし、HV走行時のWLTCモード燃費も、HV車より8%ほど良い22.2㎞/Lとなっている。
乗り心地はオリジナルのRAV4より重厚で快適。車重が1900〜1920㎏と、約230㎏重くなっているが、むしろこれが良い方向に作用して、しっとりとした乗り心地に仕上がっている。となると操縦性能が心配になるが、重量増は主に床下で、重心高は低くなっているから、市街地から都市高速までの試乗では、身のこなしに重さを感じることはなかった。
難点は人気が高すぎること。発表から3週間で2020年度の計画台数を売り切ってしまい、現在は受注を停止している。そもそもの計画販売台数(300台/月)が少ないことが原因だが、これはバッテリーの生産能力に依存するため。購入希望のユーザーは、ディーラーに購入の意思を伝えて、受注が再開されたら即発注してくれるよう頼んでおくと良いだろう。
スタイルワゴン2020年9月号より
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