ダイハツの軽ハイトワゴンである「ムーヴ」。ムーヴはダイハツを代表するロングセラーモデルでしたが、2023年に惜しまれつつ生産を終了しました。

ここでは、ムーヴがデビュー当時から人気を維持してきた背景にあるムーヴならではの魅力や、過去モデルの特徴、中古車市場での相場などを解説します。

  • ダイハツ「ムーヴ」には、室内が広いなどの特徴がある
  • ダイハツ「ムーヴ」には、6つの歴代モデルがある
  • ダイハツ「ムーヴ」の中古車は、10~70万円程度で販売されている

ダイハツ「ムーヴ」が長く人気を獲得できた特徴3つ

ムーヴは広く使い勝手の良い室内空間を確保していたことやコストパフォーマンスに優れていたことなど、さまざまな魅力があります。

特徴1:広く使いやすい室内空間を確保

ムーヴは従来の軽自動車の欠点であった室内空間の狭さや圧迫感を、全高を高く取ることで解消したハイトワゴンです。

今でこそより背の高いスーパーハイトワゴンが登場していますが、ムーヴが登場した当時、乗用軽自動車はセダンタイプの低車高のものが主流であり、ハイトワゴンはムーヴより早い時期に登場したスズキ「ワゴンR」が存在する程度でした。

室内高にゆとりがあるのでセダンタイプよりもヘッドクリアランスに余裕があり、圧迫感や窮屈さが軽減したこと、使い勝手の良さを高めるさまざまな工夫が凝らされていることはムーヴの特徴のひとつといえます。

特徴2:買いやすい価格を実現

ムーヴは、高いレベルの燃費性能を実現し、日常的な利便性を高める最先端の装備を多数採用しながらも買いやすい価格を実現していたモデルでもあります。

軽自動車はスライドドアを搭載し、より広々とした居住空間を確保したスーパーハイトワゴンの登場によって車両本体価格が高額化しましたが、ムーヴは最終モデルとなる6代目の登場時において、ノーマルタイプであれば予防安全機能「スマートアシスト」搭載モデルが120万円程度~で手に入りました。

極端に安い、というモデルではありませんが、性能から考えるとコストパフォーマンスが高く、軽自動車に期待したい経済性を実現していた1台といえるでしょう。

特徴3:程良い大きさで運転しやすい

軽自動車の全高を高く取ると室内空間は広くなりますが、高さがある分揺れやすくなります。コーナリング時や、高速道路の橋上を走行中に風にあおられてふらつくことも少なくありません。

ハイトワゴンであるムーヴは近年人気があるスーパーハイトワゴンよりも全高が低いため比較的安定性が高く、安心して運転ができます。特に運転が苦手な方や運転初心者の方にとっては、この点は大きなメリットとなるでしょう。

室内の広さは欲しいけれども、あまりに背が高いモデルには不安がある、という方におすすめです。

ダイハツ「ムーヴ」の歴代モデルの魅力

ムーヴは1995年に登場、2023年の生産終了まで6世代に大きく分けられます。

ここでは各世代の特徴についてご紹介します。

軽自動車の原点に立ち返ったLA150/160S型(2014~2023年モデル)

最終モデルは2014年に登場。このころはダイハツの軽自動車のフラッグシップといえるモデルはスーパーハイトワゴンであるタントに移行していたため、ムーヴは最新技術を多数採用しつつも、軽自動車に本来期待される低燃費・低価格を追求。

先代モデルから引き続き高いレベルの燃費性能を実現するとともに、軽量高剛性を実現した新ボディ骨格構造を採用することで車としての基本性能を向上、生活に寄り添う軽自動車としての存在感を強めました。

全方向にレベルアップしたLA100/110S型(2010~2014年モデル)

5代目モデルは時代の当時の環境意識の高まりを受け、ボディの軽量化、新開発エンジンやアイドリングストップシステム「eco IDLE」の採用などによって徹底的に燃費性能を追求し、当時のガソリン車トップの燃費性能を実現しました。

さらに、ゆとりのある室内サイズを実現、「ナノイー」ディフューザーや大容量深底ラゲージアンダーボックスなど、利便性、快適性を高める装備を多数採用し、すべてにおいて高次元でバランスが取れた1台となっています。

先進安全技術を採用したL175/L185S型(2006~2010年モデル)

先代の登場から約4年後と、比較的早いタイミングで世代交代した4代目は、プラットフォーム、エンジンを一新、デザインも大きく変更され流麗さと躍動感あふれるスタイルになりました。

先代よりもさらに室内空間は拡大。また、プリクラッシュセーフティシステムを軽自動車として初めて(2006年9月時点、ダイハツ調べ)採用するなどし、先進の予防安全技術によって高い安全性を実現しています。

最新鋭の豪華装備が魅力のL600/602/610S型(2002~2006年モデル)

プラットフォームを一新、当時のクラストップの室内長、室内幅を実現し、前後乗員間距離は先代型比で105mmを実現するなど、居住性に磨きをかけています。

また、当時の最新鋭のマルチインフォメーションDVDナビシステムを再採用したのも特筆ポイントでしょう。DVDタッチパネルナビや携帯電話のハンズフリー対応機能など、さまざまな機能が使用できる先進装備です。

ハローキティ特別仕様車が話題を呼んだL900/902/910S型(1998~2002年モデル)

初代の登場から3年後と、短いスパンでの世代交代となった2代目モデル。衝突安全ボディ「TAF(Total Advanced Functionボディ)」を採用し、衝突安全性を高めました。また、新エンジンシリーズ「TOPAZ(トパーズ)」によって走りと燃費性能、環境性能にも磨きをかけています。

この世代のトピックのひとつに、1999年5月に登場した特別仕様車「ムーヴ ハローキティ」が挙げられます。エンブレムやシート表皮など内外装にハローキティをあしらった、ユニークな1台です。

一躍ヒットモデルに躍り出たL600/602/610S型(1995~1998年モデル)

初代ムーヴでは4代目のL500系ミラをベースに専用設計を施し、全高を高く取っているのが特徴です。

当時としてはまだ珍しかった後席の左右独立スライド機能&リクライニングシートを採用したことに加え、リアシートはヘッドレストを外してリクライニングするとフルフラットになるなど、時代を先取りしヒットモデルの仲間入りを果たしました。

ダイハツ「ムーヴ」の現在の価格

ムーヴの各世代の、現在の中古車市場の相場をまとめました。

初代:36~48万円程度

2代目:11~70万円程度

3代目:13~30万円程度

4代目:13~35万円程度

5代目:15~40万円程度

6代目:17~50万円程度

ダイハツ「ムーヴ」は、販売が終了しても手に入れやすい1台

ムーヴは人気があるモデルであっただけに、2代目以降は中古車市場でも販売台数が比較的多いといえます。また、買いやすい価格感のものも多いので、予算に合ったものや希望の仕様が選びやすいでしょう。

※この記事は、2024年6月時点の情報で制作しています

情報提供元: カルモマガジン
記事名:「 ダイハツ「ムーヴ」はなぜ長く人気だった?特徴や歴代モデルの魅力を解説