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米どころ・酒どころとして有名な本州日本海側の最大都市「新潟市」。
同市からも県内・県外へ数多くの高速バスが運行されていますが、その中から、今回は関西と新潟を結ぶ夜行高速バス「おけさ号」をご紹介。
30年以上も運行を続ける老舗夜行高速バスに乗車してみた様子や感想をレポートします。
「おけさ号」の旅の始まりは、阪急梅田駅(三番街口)直結の阪急高速バスターミナルから。東京、新潟、北陸、関西、中国、四国方面へ向かう高速バスが発着する、関西有数の高速バスターミナルです。
「阪急高速バスターミナル」と書かれた大きな電光看板が目印です。
ターミナル敷地内には、きっぷ売り場、トイレ、コインロッカー、自動販売機、売店を完備した待合室があります。
なかでも、売店には飲食物のほかに関西みやげを多数取り揃えており、こちらの売店でみやげ物を購入してからバスに乗車する方も多いそうです。
待合室内には、発車時刻を案内する表示モニターがあります。のりばは、発車時刻の10分前に案内放送にてお知らせされますので、案内放送はしっかりと聞きましょう。
なお、大阪梅田阪急高速バスターミナルの詳細は、こちらの記事でも紹介されています。
発車前に近くで食事をしようかと思い、店を探します。
阪急梅田駅周辺には数多くの飲食店がありますが、バスターミナルからあまり移動したくないという方には、阪急三番街の地下2階にあるフードコート「UMEDA FOOD HALL」がおすすめです。
イタリアン、フレンチからステーキ、寿司、味噌カツ、うどん、スイーツまで、計18店舗が入っており、最新のグルメやお酒が気ままに味わい尽くせるのが特長となっています。
色々と迷った挙句、手早く済ませたかったということもあり、私はさぬきうどんを注文。美味しくいただきました。
「おけさ号」は、阪急バス(本社:大阪府豊中市)と新潟交通(本社:新潟県新潟市)が1988(昭和63)年に共同で運行を開始し、2018年で30周年を迎えた老舗の夜行高速バスです。両社とも高速バスの運行に際しては実績があり、安心して利用できます。
発車の10分前にはバスがのりばに入線し、乗車改札が始まります。今回乗車したのは、新潟交通担当便。「Niigata Kotsu」の「N」をあしらったカラーリングデザインが目立ちます。
では、早速乗車してみましょう。
車内には、幅広の3列シートが並んでいます。社名入りの赤を基調としたシートモケットと、最後部まで一人掛けになっているのが特徴です。
シートにはレッグレスト・フットレスト(足置き台)を装備。リクライニングの角度は若干浅めの仕様です。
各座席にはコンセントも完備。携帯電話やスマートフォンの充電に便利です。
窓側座席には通路カーテンを装備。周りを気にせずに眠ることができ、利用客に好評です。
車内中央部にはトイレを完備。途中、休憩停車は2回ありますが、万が一というときに嬉しい設備です。
各座席には、チェック柄のブランケットが備えられているほか、シートポケットには使い捨てスリッパが入っています。
床下トランクに荷物を預けると、写真の「お手荷物ご確認票」が乗務員から渡されます。降車の際に必要となりますので、無くさないようにしましょう。
シートポケットにはもうひとつ、「県外高速バスアンケート」なるリーフレットも入っていました。
アンケートフォームへのリンク用URLとQRコードが印刷されており、アクセスするとインターネット上でアンケートが回答できるようになっています。
紙式のアンケートはいくつか見たことがありますが、このような形式のアンケート実施は初めて見ました。
以上、夜行バスに必要な装備はひと通り揃っており、大阪~新潟間の約9時間半の道のりを快適に過ごせるようになっています。
なお、このバスにはWi-Fiサービスの提供がありませんでした。(共同運行の阪急バス便にはWi-Fiサービスが提供されています。)
21:30定刻に大阪梅田阪急高速バスターミナルを発車した「おけさ号」は、新御堂筋を通り、新大阪の阪急高速バス新大阪ターミナルへ向かいます。新幹線やJR線利用の方は、こちらからの乗車が便利かもしれません。
バスはさらに北へ進み、千里ニュータウン(北大阪急行桃山台駅)、千里中央駅で乗車扱いを行なったあと、吹田インターから名神高速道路に入ります。
名神茨木、名神高槻、名神大山崎で乗車扱いを行なったバスは、一路京都方面へ。京都南インターでいったん高速道路を降り、京都駅八条口(G3のりば)で乗車扱いを行ないます。
京都駅八条口で全員の乗客が揃い、乗務員による各種案内と自動音声放送による車内設備の案内が行なわれたところで、バスは新潟へ向けて発車します。
この日は、平日にもかかわらず、予備席1席を除いてすべての座席が埋まる満席状態でした。聞くところによると、週末や繁忙期には続行便が複数台運行されることも珍しくない人気路線とか。
また、車内を見回してみると、10~60代と幅広い年齢層の方に利用されているように見受けられました。同路線が、古くから新潟と関西を直通している主要な夜行交通機関として機能していることに加え、2012(平成24)年春の寝台急行列車「きたぐに」の廃止によって、夜行の移動手段が実質夜行バスのみになったこと、そして地元バス会社が運行していることへの安心感で選んでいる乗客が多いのではという印象を受けました。
京都南インターから再び名神高速道路へ入り、最後の乗車停留所である京都深草にて乗車扱いを行なったバスは、名神高速道路を東へと進みます。
「おけさ号」の途中休憩は、消灯前と起床後の2回のみとなっています。
消灯前の休憩場所は、京都深草から10分ほど走行した場所にある、滋賀県の草津パーキングエリア。こちらでは23:26から14分間停車しました。
トイレや売店、コンビニのほか、フードコートも完備している大きなサービスエリアですが、停車時間が10分程度と短いので、トイレや洗顔、買い物は早めに済ませましょう。
ちなみに私は、トイレを済ませたあと、売店にてみやげ物を数点購入してバスへ戻りました。
バスのドア付近には、発車時刻を知らせる案内ボードが掲げられます。出発時刻は必ず確認しておきましょう。
草津パーキングエリア発車時にバス車内は消灯されます。消灯後は2カ所のサービスエリアにて乗務員交代と車両点検のために停車しますが、乗客は下車できません。
起床後の休憩は、消灯後約6時間経過した新潟県の北陸自動車道栄パーキングエリアにて実施されます。定刻では05:45頃に到着し、停車時間はこちらも10分程度と短いです。
洗顔や買い物は早めに済ませておきましょう。
雨の栄パーキングエリアに停車する「おけさ号」です。
栄パーキングエリアを発車したバスは、燕市~新潟市内の高速道路上バス停に停車していきます。
最初に停車したのは、燕三条駅近くの三条・燕バス停。こちらでは2名が下車していきました。その後、巻・潟東、鳥原で各数名が下車し、06:29に新潟亀田インターから流出。バスは新潟市内に入ります。
06:38にバスは新潟駅前降車場に到着。多くの乗客が下車していきました。JR線への乗り換えはもちろんのこと、新潟交通の市内路線バスや県内高速バスへの乗り換えは、こちらで下車するのが便利です。
そして、06:45にバスは終点の万代シテイバスセンター降車場に到着。新潟市中心部へ行く方や、仙台・山形・会津若松方面など県外高速バスへの乗り換えは、こちらで下車するのが便利です。
万代シテイバスセンターは、新潟市中央区の万代シテイ内にあるバスターミナル。新潟交通の基幹バスターミナルとして位置付けられており、バスセンターのビル内には新潟交通の本社も置かれています。
また、アイドルグループ「NGT48」の劇場も、バスセンター隣の商業施設「ラブラ2」内にあります。
万代シテイバスセンターへのアクセス方法及び詳しい情報は、こちらの記事を参考にするとよいでしょう。
「おけさ号」を含む県外高速バスを利用される方は、万代シテイバスセンターからの乗車がおすすめ。
8番のりば前には、コンパクトながらもきれいな専用待合室が完備されており、女性専用のパウダールームやモバイル充電専用のコンセントもあります。
そして、万代シテイバスセンターといえば、6番乗り場近くにある立ち食いそば屋「名物 万代そば」が提供するB級グルメ「バスセンターのカレー」が欠かせません。
テレビなどで取り上げられたことがきっかけで一躍有名になり、今や万代シテイバスセンターの名物にもなっています。とんこつの出汁をベースにしたカレーは、見た目とは裏腹のスパイシーな味が特長。一度味わったら病みつきになること間違いなしです。
値段はミニカレー380円、普通カレー470円、大盛カレー550円です。
また、バスセンターのカレーは、レトルトパックでも楽しめます。「名物 万代そば」のほか、万代シテイバスセンター内のファミリーマート、新潟駅構内のみやげ店でも購入できます。
ただし、最近は品薄状態が続いているそうで、私が訪れた日、レトルトパックは売り切れで購入できませんでした。
万代シテイといえば、先日、リニューアル計画が発表されましたが、バスセンターも「明るく」「人にやさしい」バスターミナルへ生まれ変わる予定です。
完成予定は2021年の秋。「名物 万代そば」の行方も含めて、リニューアル後の万代シテイバスセンターがどうなるのか、今から楽しみですね。
大阪・京都~新潟間をJR新幹線乗り継ぎ(東京で乗り換え)で移動する場合、大阪~新潟間は20,960円(普通運賃+新幹線特急料金)、京都~新潟間は20,640円(普通運賃+新幹線特急料金)となります。
また、大阪~新潟間を飛行機で移動する場合、ANAは23,950円、JALは25,510円です。LCC「peach」を利用した場合では、基本パッケージ「バリューピーチ」適用で6,090円~27,590円となります。
※いずれも11月29日現在、格安移動調べ
大阪⇒新潟 高速バス・飛行機 LCC・新幹線の最安値比較「格安移動」
そんな中、大阪・京都~新潟線「おけさ号」は、大阪~新潟間が8,500円~10,000円、京都~新潟間が8,000円~9,500円となっています。
LCC「peach」と比較すると、利用日によっては「おけさ号」の方が高くなることもありますが、JR新幹線乗り継ぎや大手航空会社の飛行機と比較すると、新幹線や飛行機の半額以下の運賃で眠りながら移動できる(=宿泊費が節約できる)ことから、「おけさ号」のコストパフォーマンスは相当高いといえるでしょう。
なお、週末や繁忙期は特に混み合いますので、早めのご予約・ご購入をおすすめします。
今回は、大阪梅田から新潟間までの全区間を利用しましたが、平日の月曜日に利用したということもあり、片道8,600円で移動できました。
シートもゆったりとしており、充実した車内設備、そして通路カーテンのおかげで、消灯後は翌朝の休憩まで目を覚ますことなく、ぐっすり眠れました。
かつては「きたぐに」などの寝台列車も運行されていましたが、全て廃止された結果、現在運行される関西~新潟間の夜行交通機関は、「おけさ号」をはじめとする夜行高速バスだけです。
・ゆったりシートで寝ながら移動したい
・安心で実績のあるバスで移動したい
・他の交通機関よりも安く移動したい
という方に、「おけさ号」は最適なバスだと思います。
(須田浩司)