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ヒートショックとは、暖かい部屋から寒い部屋への移動など、温度の急な変化が体に与える影響のことです。ヒートショックによって血圧が大きく変動することで心臓に負担がかかり、心筋梗塞や脳梗塞などにつながるリスクが高まります。また、ヒートショックによってふらついたり、失神したりすることで、浴槽で倒れて溺れるなど入浴中の事故を引き起こすこともあります。
2021年3月に「STOP!ヒートショック」プロジェクトが行ったアンケート(※1)によりますと、「ヒートショックについて見聞きしたことがありますか」という問いに対して、「内容まで知っている」と回答された方は61%と過半数を超え、ヒートショックの認知度は高いことが分かります。
先程のアンケートで、「冬の寒い時期にヒートショック対策のための行動を実行していますか」との問いに対しては、「実行していない」と回答された方が48.6%でした。ヒートショックについての認知度は高いものの、ヒートショック対策をしている方はそれほど多くないことが分かります。
また、「冬季に自宅で寒いと感じることはありますか」との問いに対しては、9割以上の方が「寒いと感じることがある」と回答されました。最も寒いと感じるのは、「入浴前の脱衣室」で、次いで「トイレ」や「寝室」となっています。ほとんどの方が自宅で寒さを感じていながらも、ヒートショック対策をとられているケースは少ないようです。
一般的に、家の中で、特に、脱衣室や浴室、トイレは、ヒートショックが起こりやすい場所といわれています。これらの場所は、先ほどのアンケートで多くの方が寒さを感じると回答されたように、暖房設備が設置されていない場合が多いため、住宅の断熱性能によっては震えるほど寒い場合もあります。暖房の効いた部屋から出て、寒い脱衣室や浴室へ移動すると、寒さに対応しようとして血管が収縮し、血圧が上昇します。その後、浴槽の熱いお湯に浸かると、熱さに対応しようとして血管が広がり、血圧が低下します。
ヒートショックによるこうした血圧の乱高下が、めまいや立ちくらみ、心臓発作などを引き起こすことがあります。このため、寒い日の入浴時は万全のヒートショック対策が必要です。
入浴時のヒートショック対策として、「入浴前」「入浴中」「入浴後」のそれぞれの場面で注意していただきたい主なポイントについてまとめました。
(入浴前)
・脱衣室と浴室を暖かくしておきましょう。脱衣室は衣服を脱いでも寒いと感じないくらいに暖めておくと安心です。浴槽のお湯をかき混ぜて蒸気を立てたり、シャワーを使ってお湯張りをしたりすると、浴室内を暖めることができます。
・十分に水分を補給して、周囲の人に声をかけてから入浴するようにしましょう。万が一、入浴中に体調が悪くなった場合、早く発見してもらうことが大切です。
(入浴中)
・湯船に入る前に必ずかけ湯をしましょう。血圧の急激な変動を防ぐには、心臓から遠い足先から徐々にお湯をかけるのがオススメです。
・浴室との温度差を小さくするために、お湯の温度は41℃以下にしましょう。長い時間、熱いお湯に浸かると、体温が上昇して意識障害を起こすことがあります。お湯につかる時間は10分を目安にしましょう。
(入浴後)
・しっかりと水分を補給しましょう。入浴中にたくさん汗をかくと脱水症状を起こすことがあります。コップ1杯程度の水やスポーツドリンクなどを飲むと良いでしょう。
11月26日は「いい風呂の日」です。これから寒さが増してくると、お風呂でゆっくりと体を温めてリラックスしたいものですね。ヒートショック対策を心がけて、冬の入浴を安全に楽しんでください。
日本気象協会では、ヒートショックの知識や対策をより多くの人に知ってもらうため、ヒートショックの啓発プロジェクト「STOP!ヒートショック」をサポートしています。また、日本気象協会は東京ガスと共同開発した「ヒートショック予報」について、tenki.jpでも提供していますので、ぜひご活用ください。
(※1)
「STOP!ヒートショック」プロジェクトが実施したインターネットによるアンケート調査
「ヒートショックに関する意識・実態調査」(2021年3月11日~3月15日)
(出典)
・消費者庁「冬期に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」
・政府広報「交通事故死の約2倍?!冬の入浴中の事故に要注意!」
・「STOP!ヒートショック」