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千両梨は明治時代に、北海道の余市町で偶然発見されました。余市町は札幌から車で60分。ナシ、ブドウ、サクランボなどの観光農園やワイン用のブドウ畑があるほか、NHK朝ドラ「マッサン」のロケ地となったニッカウヰスキー余市蒸溜所があります。
千両梨の形は洋梨に似ています。もともとは「身不知(みしらず)」とよばれていました。その理由は、誰も知らない梨だったからという説、身の程知らずなくらいあまりにもたくさんの実がなるからという説など、諸説あります。
品種としては中国梨の仲間で、手間がかからずたくさん採れるためか、千両梨とよばれるようになり、一時は北海道のあちこちで栽培されていました。しかし、量産されたため価格が下落したほか、丸い形の和梨の人気が高まったため、千両梨は年々減産され、現在は余市でしか生産されていません。そのため、“幻の梨”ともよばれるようです。
参考
JAよいち:千両梨発祥の地
千両梨は見た目はひょうたん型をしていますが、食感は洋梨のようなシットリ・ネットリ系ではなく、和梨のようにシャリシャリ、シャキシャキとしていて、皮を剥くときにゴリゴリとした触感が手に伝わります。皮が黄色く熟してからのほうがおいしくなる洋梨と違い、皮に青みがあるうちに食べるほうが、千両梨らしいおいしさを味わうことができます。
そして、洋梨との大きな違いは、その大きさです。洋梨はだいたい手のひらサイズですが、千両梨は平均で400g前後。大きいものだと700g以上にもなります。700gだと、350mlのペットボトルが2本分と考えると、かなりの大きさですね。
味は、ほどよい甘さと酸味のバランスがよく、糖度が高いことが求められている最近の果物や野菜と違って、素朴で、どこか懐かしい味がします。
参考
旬の食材百科:千両梨/身不知(みしらず)
「CA」とは、Controlled Atmosphere(調整された空気)の略で、最近、CA貯蔵という方法で、野菜や果物を人工的に管理して、鮮度の低下を抑制する貯蔵法が各地で行われています。
従来は温度と湿度を調整して貯蔵されていましたが、CA貯蔵では温度と湿度のほかに、空気中の酸素や窒素、二酸化炭素の濃度を調整し、青果物の呼吸を最小限に抑制して鮮度の低下をおさえます。これにより長期の保存が可能になるだけでなく、糖度が増加して甘みが増す場合もあり、旬以外の時期にもおいしい野菜や果物を食べることができるようになりました。ジャガイモやリンゴ、ミカン、カキ、ニンジン、ハクサイなどの保存に利用されていて、北海道では千両梨もCA貯蔵されています。
秋が旬の千両梨ですが、CA貯蔵によってシャキシャキ、シャリシャリとした食感が変わることなく、冬にもおいしく食べることができるというわけです。
参考
ホクレン:よくねた千両梨
ホクレン:よくねた野菜
フジプラント㈱:“CA貯蔵”とは
千両梨のほとんどが北海道の余市で栽培され、それが冬にも食べることができるなんて、まさに“幻の梨”。見た目は洋梨、食感は和梨のような、ビッグサイズの千両梨。一度食べてみたいものですね。