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それから50年以上の月日が流れ、科学技術も大きく進歩したいま、実は新しい月面着陸計画が進行しています。そこで今回は、かつての月面着陸を振り返りながら、これから予定されている月面着陸計画「アルテミス計画」についてご紹介します。
アメリカ合衆国のジョン・F・ケネディが10年以内に人類を月面着陸させると宣言したのが1961年5月のこと。それから8年後の1969年7月20日に、アメリカ合衆国のアポロ11号によって人類初の月面着陸が達成されました。
「人間にとっては小さな一歩だが, 人類にとっては大きな飛躍である(One small step for a man, one giant leap for mankind)」
アポロ11号が月面着陸したときにまだ生まれていなかった人も、ニール・アームストロング船長のこの言葉は耳にしたことがあるかと思います。月から世界中に生中継が行われ、日本ではNHKが放送し、視聴率はなんと68.3%を記録しています。
アポロ計画はこのあと1975年まで続き、12人の宇宙飛行士が月に降り立つことになります。ただ当初の計画ではアポロ20号まで予定されていましたが、あまりにも費用がかかるということで、アポロ18号以降の計画が中止されています。
また、同時期にソ連(ソビエト連邦)も月面着陸を計画していましたが、こちらは実行されることなくソ連崩壊となったため、これまで月に降り立った人類はすべて米国人ということになります。
【参考】
NASA 1969年7月20日:人類にとって大きな飛躍
TVは凄かった アポロ11号月面着陸瞬間視聴率は68.3%到達
人類が初めて月面に降り立ったのは1969年7月20日ですが、実は遡ること3年前の1966年に、ソ連の無人月探査機ルナ9号が月面に軟着陸しています。また同じ年、ルナ10号が月の周回軌道に乗ることに成功しています。
このように当時の宇宙開発は、ソ連が一歩リードする状況にありました。今の若い世代はわからないかもしれませんが、当時アメリカ合衆国とソ連は冷戦状態にあり、それぞれが軍備拡張を目指し、そのひとつとして宇宙開発が掲げられていました。
1957年にソ連が人工衛星を初めて成功させたことから、お互いの競争が一気に加速し、1961年にソ連のガガーリンが人類初の有人宇宙飛行を成功したことで、アメリカ合衆国政府の危機感が高まり、アポロ計画が本格的にスタートした。
そこからはアメリカ合衆国とソ連がしのぎを削る形で宇宙開発を行い、そして1969年7月20日にアポロ11号の月面着陸へと繋がっていったわけです。冷戦は核の時代を生み出しましたが、それと同時に私たちに宇宙への希望を抱かせてくれた時代でもあったわけです
【参考】
JAXA|ルナ
人類が初めて月面着陸をしてから50年が経過しましたが、実はすでにNASAは月面再訪計画としてアルテミス計画を発表しています。アルテミス計画では2024年に米国人宇宙飛行士を月面着陸させることになっています。
このアルテミス計画には日本も参加を表明しており、日本人宇宙飛行士が月面着陸を行う計画も含んだ月探査協力に関する共同声明を日米両政府が先日発表しました。2020年代の後半にも実現するのではないかと見られており、10年以内に日本人初の月面着陸が実現するかもしれません。
まだ発表されたばかりで、詳細なスケジュールや活動内容などは決まっておらず、予算の確保等の問題もありますが、テレビ中継に釘付けだった世代にしてみると、ようやくあの日に夢見た未来が目の前にやってきたと感じるかもしれません。
その瞬間はおそらくまた中継され、多くの日本人が目にすることになるはずです。アポロ11号をリアルタイムで見ていない世代も、歴史的瞬間の目撃者になれると思うとワクワクしますよね。少し暗いニュースが続いていますが、このように未来に向けて動き続けているプロジェクトの発表は嬉しいことです。
かつて夏目漱石が「I LOVE YOU」を「月が綺麗ですね」と訳したとされていますが、これからは「月が綺麗ですね」が「希望を持ちましょう」という意味も含むようになるかもしれません。
【参考】
日本人飛行士 月面に降り立つか NASAと取り決め策定へ