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カレーなどのスパイシーなメニューは、暑い国でよく食べられています。日本でも、なぜか夏には無性にカレーが食べたくなるから不思議…「夏バテで食欲ない〜素麺しか無理〜〜」と言っていた人が、熱々のカレーならペロリと平らげてしまったりしますね。じつは、カレーなどの辛いものをハフハフと食べて汗をかくことで、汗が蒸発するとき体の表面の熱が放散され、体温の上がりすぎを防ぐのだそうです。体みずからが涼を求めてカレーをオーダーしているのかも!?
カレーは、複数のスパイスから作られています。ターメリック(ウコン)に含まれるクルクミンをはじめ、その多くが漢方薬など健康に役立つものとして用いられているようです。効用実験では、食欲を増進させて消化吸収をたすけたり、ストレスを緩和する働きをしたり、さらに冷え症の改善や脳の細胞活性化などにも効果があるとの報告(※)も。カレーは、暑さで弱りがちな体に活力をくれる「薬膳メニュー」といえるのかもしれません。
※参考:全日本カレー工業協同組合「カレーのヒミツ」
インド料理がイギリスから伝わり、「肉&じゃがたまにんじん」など日本独自のアレンジを経て愛されてきたカレー。皆さまのおうちでは、カレーに何を入れていますか? 多くのご家庭では、肉や野菜などを何種類か入れて煮込み、ごはんにかけて「カレーライス」として召し上がるのではないでしょうか。じつはそれも、カレーが夏バテに効く理由のひとつ。ひと皿で炭水化物・タンパク質・ビタミン類・食物繊維と、栄養をバランス良くしっかり摂取! カレーに入っていれば、苦手な野菜も難なく完食してしまうお子さんも多いようです。
ふだんお料理しない人が作っても、カレーの場合たいてい美味しくできあがるのもうれしいところ。自炊する方なら「炒め物の味付けに失敗したがカレー味にして事なきを得た」「昨日余った煮物をカレーに変身させた」という経験が一度くらいはあるのではないでしょうか。カレーには、辛さに加えて「五味(甘み・酸み・塩み・苦み・うまみ)」の全てが含まれているともいいます。その複雑さが、あらゆる味の組み合わせをまとめあげ、少々の違和感すら楽々カバーしてしまうのかもしれませんね。全国の「ご当地カレー」が、しばしば驚くような食材(←名産品)で構成されていながら食べてみると美味しい…という事実も、カレーの包容力を表しているような気がします。
日本人にカレーが人気メニューとして定着したのは、軍隊や学校などみんなで食べる場面に取り入れられたことが大きいといわれています。カレーの匂いを嗅ぐと、何十年も前の給食やバザー、キャンプや海水浴、お祭りや屋外イベントなどで食した思い出が、ありありと脳内に浮かぶという大人の方も少なくないようです。「夏が来れば思い出す〜♪」という感じで、集いを懐かしむ気持ちが刺激されるのでしょうか。
そして日本では長年、カレーライスは子どもの好きな家庭料理の上位にランクインし続けています。つまり成長した大人にとっては、心を満たす「おふくろの味」。ユネスコ無形文化遺産に認定された「和食」の4つの特徴(※)には、「多様で新鮮な食材、健康的な食生活を支える栄養バランス、自然の美しさや季節の移ろいの表現、年中行事との密接な関わり」等とあります。お味噌汁のように、旬の具を自由に組み合わせて楽しむことができるカレー…そう考えると、カレーライスはほぼ和食!? そんな声もあるほど、日本人にとって郷愁を誘う食べものなのですね。
※農林水産省『ユネスコ無形文化遺産「和食」の4つの特徴』
たった一皿で体と心を満足させてくれる、夏のカレー! 今年はコロナ禍で春からず〜っと体と心がモヤモヤしているという方も多いかもしれません。暑さとストレスで食欲がわかないときこそ、ぜひカレーを食べて汗をかき、元気回復をはかってみてはいかがでしょうか。