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単なる趣味、役割としての仕事の範疇を超えたもの。それがないと自分ではないと感じるようなもの。それがパッションです。子どもの頃、時間を忘れるくらい夢中で遊んだり、何かに熱中した思い出はありませんか。このような状態は「フロー体験」と呼ばれ、人は心から好きなことに没頭している時に、大きな満足感や自己肯定感を感じます。このフロー体験によって、人は自分の能力を最大限に発揮するといわれているのです。残念ながら、大人になるとすべきことに追われ、自分のパッションを忘れてしまったり、なかなか気付かないことも多いのではないでしょうか。
パッションは2種類あるといわれています。「健康的で日常生活との調和のとれたパッション」と「自分を縛ってしまう強迫観念のあるようなパッション」です。後者は、自分や周囲に悪影響を与えてしまうおそれがある妄想に近いもの。人生を導いてくれるのは、もちろん前者のパッションです。
パッションは、私たちの人生に欠かすことのできない「エネルギー」「目標」「目的」といった3つの要素を与えてくれます。行動するためのエネルギーが沸き上がり、毎日の生活に目標が生まれ、何のために行うのかという目的を手にすることができます。
あなたが「好きなこと」には、パッションの芽が宿っています。好きだからこそ続けられるし、努力することもできるのですね。さらに、「好き」を「パッション」にまで高めるために必要なのが、「何のために」という問いです。自分自身を見つめる「内側の視点」と、自分を取り巻く社会を見つめる「外側の視点」を持つこと。この2つの視点の先に、「自分はどう生きていくべきか」の答えが見えてくるようです。パッションは、自分らしい豊かな人生、生きがいを与えてくれるものなのですね。
「自分の好きなことや情熱を感じることをして、それが誰かの役に立ち、社会をより良くするとしたら。これほど素晴らしいことがあるでしょうか。
自分一人だけで満足して生きるより、その喜びを分かち合える人がいれば、人生はもっと幸せに、そして生きがいのあるものになるはずです。」
『「パッション」の見つけ方「人生100年ずっと幸せ」の最強ルール』より
では、どのようにして自分だけのパッションを見つければよいのでしょうか。まずは、「こうしたい」「これが好き」という、自分の心の声を信じること。実は、これはとても勇気のいることなのです。年を重ねると経験や知識とともに、思い込みや固定観念も多く身に付いてきます。「どうせ無理にきまっている」「役に立たない」「失敗しそう」。そんなネガティブな言葉によって、自分の直観を否定してしまうことが多々あるのです。心の声を無視していると、自分が本当にやりたいことがどんどん遠のいてしまうという残念な結果に。
自分の心の声を信じてパッションを見つけるためには、「失敗する勇気を持つこと」「オープンマインドで自由に考えること」の2つを実践してみましょう。すこしでも興味をもったことは、勇気を出して試してみる、探し続ける覚悟を持つ。失敗しても自分を責めるのではなく、試した勇気を誉めてあげましょう。急がず楽しみながら、自分のパッションを探したいものです。「自分には向いていない」「今からでは遅い」「時間がない」といった思い込みや固定観念にとらわれず、より自由な発想を心掛け、自分をニュートラルに保つことも忘れずにしたいですね。
仕事にパッションがあれば、働くことが喜びに満ちた時間となり生きがいになります。一方で、仕事にパッションを感じられないこともありますし、あえてパッションを仕事にしないという選択もあります。経営学者ドラッカーが提唱した「パラレルキャリア」という新しい働き方が注目されていますね。本業と同時並行で、第二、第三のキャリアを築くことを意味しますが、必ずしも収入のためではなく個人や社会にプラスの影響を与えることが目的とされています。ボランティア活動による社会貢献、スキルアップのための勉強、趣味の追求など、仕事を続けながら自分のパッションを探る方法もあるのです。パラレルキャリアによって、本業の仕事にパッションを見出す可能性もありますね。
いつも誰かの世話に追われている子育て中などは、まずは15分でも自分の時間をキープしましょう。パッションを見つけるためにいちばん大切なことは、自分のための時間を確保することです。そのためにできなかった家事や育児があっても、自分を責める必要はありません。親がパッションを探す姿、パッションをもって生きる姿は、確実に子どもの人生に影響を与え豊かさをもたらすからです。
いかがでしたか?今、あなたにはパッションはありますか。好きなことや趣味はあるけれど、パッションはまだ見つからない、という人は「何のために」を真剣に考えてみてはいかがでしょうか。
わが身を振り返れば……。中途半端な努力で投げ出した夢や、途中でやめてしまった習い事の数々。自分自身を見つめ直し、世の中を見据え、どうしたら役に立つことができるのかを、あらためて考えてみたいと思います。まずは、「こうしたい」「これが好き」という、自分の心の声を信じることから。
参考文献・引用
ボーク重子『「パッション」の見つけ方「人生100年ずっと幸せ」の最強ルール』小学館