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そこで今回はヨーロッパの伝統的修繕技術「ダーニング」をご紹介します。難しい技術を使うことなく、穴の空いてしまった洋服などをお直しすることができます。
「ダーニング」でお気に入りの洋服を生まれ変わらせて、長くおしゃれを楽しみましょう。
ヨーロッパで昔から伝統的に行われてきている、衣類の修繕をする針仕事です。シミが付いてしまったり、穴が空いたり、すり切れてしまった衣類の寿命を延ばすことができます。『新品同様に見せる』、『修繕跡を見せない』というような修繕方法とは違い、『見えるように』繕う方法です。生地と近い色の糸を使って修繕すると目立ちにくくなり、また逆に、生地と全く違う素材や色を使って修繕するとアクセントになって新しい表情が生まれるのもダーニングの面白いところです。
ダーニングの作業にはダーニングマッシュルームというキノコ型の道具を使用します。ほとんどが木製で、中には貝殻やガラスなどでできたものもあります。海外では、アンティークショップや蚤の市などでも売られており、その愛らしい姿から収集家もいるほど。100年以上前からの歴史がありますが、厳格な決まりはなく、自由にできることもダーニングの魅力です。
ダーニングマッシュルームを使ってダーニングをするのが最もやりやすいのでしょうが、なくても、様々なものを代用してダーニングをすることができます。創意工夫で行える、これも生活に寄り添ってきたダーニングの魅力かもしれませんね。
いくつかダーニングマッシュルームの代わりに使えるものを挙げてみます。
☆電球
☆ガチャガチャなどのプラスチックカプセル
☆子安貝などの表面がつるっとした貝殻
☆ひょうたん
☆こけし
☆丸や卵型の木製の積み木やおもちゃ
☆車のヘッドライト
☆小玉スイカ
☆ピーナッツかぼちゃ
この他にも使えるものがたくさんあるかもしれません。ぜひ、家の中を見回してみてくださいね。
まずは準備するものです。
☆糸(毛糸)
ダーニングをする生地の糸の太さに合わせて選びます。刺繍糸などは太さに合わせて本数を調整しやすく、また色も豊富なのでおすすめです。
☆ゴム
生地とダーニングマッシュルームを固定するのに使います。
☆ハサミ
☆スチームアイロン
修繕が終わった際に、生地を整えて仕上げをします。
☆針
一般的な縫い針や刺繍針のような先の尖った針は、生地の糸を割ってしまうので避けましょう。とじ針やクロスステッチ針、コットンダイナーズのような先の丸い針を使うのがおすすめです。
それでは実際にダーニングしてみましょう
1. 生地の裏から修繕箇所にダーニングマッシュルームを当てます。この時、修繕箇所がダーニングマッシュルームの中央に来るようにしましょう。生地がピンと張るように広げ、ゴムで固定します。できるだけ布地の縦糸と横糸が歪まないように固定すると仕上がりがキレイになります。
2. 糸は腕の長さくらいで切り、針に糸を通します。
3. 修繕箇所の外側およそ5mmくらいの場所を刺していきます。ダーニングの形は様々ですが、慣れるまでは四角形を目標に刺していくとやりやすく、おすすめです。
4. 右上角を右から左に生地を小さくすくって修繕箇所の下辺へ向かって糸を引きます。糸端は10cmほど残しておきます。
5. 左下角も右から左に小さく生地をすくいます。この時に、渡した糸がまっすぐ垂直になっているようにしましょう。
6. 上辺に戻って、糸1本分を空け、右から左へ再び小さくすくって刺します。
7. 繰り返し、縦糸を張って修繕箇所を覆います。糸端は切らずにそのままにしておきます。
1. 針に同じように糸を通して、右下角から縦糸1本目の上、2本目の下、3本目の上…というように交互に糸を通して渡します。糸端は10cmほど残しておきます。
2. 右から左へと糸を渡せるように、ダーニングマッシュルームを180度回転させます。縦糸のすぐ横を上から下に小さくすくって刺し、織物のように、前段と逆の糸の間を渡していきます。
3. 針で横糸を下に詰めたり、目を整えたりしながら最後まで横糸を渡します。糸端は残しておきます。
4. ゴムを取り、ダーニングマッシュルームから生地を外します。
5. 糸端をそれぞれ裏に出します。生地を裏に返して、小さくすくったステッチを2〜3目拾って糸をくぐらせます。
6. 拾ったステッチの糸を割るように2目ほど戻り、キワで糸を切ります。
7. 全ての糸端を処理したら、生地の上から、アイロンを浮かせてスチームを当てて整えたら完成になります。
参考
クローバー株式会社
野口光の、ダーニングでリペアメイク 野口光・著/株式会社日本ヴォーグ社