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そこで今回は、次々と新しい味が登場し、ブームを巻き起こしているお鍋にフォーカスします。
鍋料理とは、調理に用いた鍋をそのままの状態で食卓に供される料理です。鍋を囲んで、卓上コンロやホットプレートなどで調理しながら、個々の椀や取り皿、タレなどを入れた小鉢に取り分けて食べるのが一般的。
また、鍋料理に主に使われる調理器具も近年では多様化しています。調理器具からメニューを決める……なんていう方法も楽しいのでは。
『土鍋』
日本の食卓でお鍋といえば定番、とも言える陶器製の鍋。火のあたりが柔らかく、保温性が高いので、長時間煮込む料理に最適。急激な温度変化に弱いので、鍋底に水滴が付いている状態で火にかけるとひびが入ることがあるので注意しましょう。サイズは号数で表わされますが、寸(3.03cm)と同一なので、7号であれば約21cm。中国でも各地で用いられており「砂鍋」と呼ばれています。
『しゃぶしゃぶ鍋』
これはもう言葉の通り、しゃぶしゃぶ専用の鍋のこと。最近はヘルシーな「豚(とん)しゃぶ」も人気ですね。
『すき焼き鍋』
すき焼き専用の浅い鉄製の鍋。予算がある時は、霜降りの上等な牛肉で舌鼓を打ちたいですね。
『ちりとり鍋』
ちりとり鍋に用いる正方形の浅い鍋。別名「てっちゃん鍋」とも呼ばれます。
『おでん鍋』
おでん専用の鍋で、様々なおでん種が見えるように横に広く作られています。
『囲炉裏鍋(いろりなべ)』
囲炉裏に掛けるのに適した、柄が付いた丸底の鋳物鍋。現在では囲炉裏の切ってある家も少なくなっていますが、昔話などの絵本などで見たことがあるのでは。鋳物ブームでこの形の一人鍋なども販売されていて、手に入りやすくなっています。
『文化鍋』
アルミニウム合金を鋳造して造られる深鍋で、蓋が鍋の縁より2~3cm低い位置に収まる様に段が設けられているのが特徴。本来は炊飯に最適化されて作られた鍋ですが、厚みもあり熱効率がよいことから、煮込み料理に利用されることも。また、鍋蓋が低いことで、吹きこぼれしにくく、煮汁が蓋と本体のシールとなり素材をふっくらとさせる効果も。
『紙鍋』
耐水加工をした和紙を器の形にしてスープと具材を盛り、下から直火で炙(あぶ)って鍋にするもの。紙が中に入れたスープの沸点、摂氏100度以上に熱せられず、燃える温度に達しないために可能となっています。見た目の優美さや、和紙が具材のアクを吸うためアク取りが不要であるメリットも。容器を使い捨てにできいることから、大人数による宴会などでの卓上鍋として用いられることが多い鍋です。
日本の鍋以外でも、おなじみになっているお鍋もあります。食卓に異国の雰囲気が加わって楽しめますよね。
『ダッチオーブン』『ココット』
ダッチオーブンはアメリカ起源の鋳鉄の鍋。ココットはダッチオーブンの原型とも言われているフランスの鍋。円形または、楕円形の耐熱容器を指します。現在では一般に、厚手のふた付きの両手鍋で、特に、鋳物で直火のほか鍋ごとオーブンに入れて煮込み料理などに用いることができるものを呼んでいます。
『火鍋子(フオクオズ)』
北京料理用の、中央に炭を入れる部分と煙突を組み込んだ銅鍋。
『タジン鍋』
モロッコ料理など北アフリカの同名の料理を調理するのに利用される浅い鍋。円錐形の蓋が食材から出た蒸気が蓋の上部で冷やされて液化し再び蓋を伝って戻るため、ほとんど水を使わず蒸し焼きができます。もともとは土鍋ですが、現在では琺瑯引きの鋳鉄製タジンも製造されています。
『クスクス鍋』
クスクスを調理するのに利用される2段式の鍋。下段の深い鍋で具入りのスープを煮込み、底に穴の開いた上段の鍋でクスクスを蒸す。スープから立ち上る蒸気でクスクスを蒸す仕組み。
人が集まってお鍋をすると『鍋奉行』と呼ばれる役の人がいたり、鍋を囲んだ日の翌日に「○○部長、意外に鍋奉行だったんだね」と話題に上ったりしませんか? 鍋を囲む人々を指す言葉はいろいろあるようですが、あなたはどのタイプですか。
『鍋奉行(なべぶぎょう)』
たとえば出汁の量、具材を入れる順序や位置、火加減など、非常に細かく指定して仕切る人。時代劇でとかく権力を振るう役まわりである「奉行」(寺社奉行や勘定奉行など)をもじり、また、少々迷惑な存在であるという意味も含まれていたり……。つまり、リーダーとしてお鍋の管理をする役まわりの人を鍋奉行と呼びます。
『鍋将軍(なべしょうぐん)』
奉行よりも厳しい仕切り役。奉行より権力があり、逆らうことができない、という意味で「将軍」をもじっています。褒め言葉ではないので、陰でこう呼ばれないように注意してくださいね。
『アク代官(あくだいかん)』
上に浮く灰汁(あく)をすくい取る作業を担当する人。「悪代官」と灰汁(あく)をもじっています。鍋料理の灰汁には、うまみ成分も含まれているので「悪代官」のように搾り取り過ぎないように。ちなみに、この語は2000年にデイリー新語辞典に掲載されました。
『待ち奉行(まちぶぎょう)』『待ち娘(まちむすめ)』
鍋奉行とは逆にほとんど手を出さず、ひたすら食べられる時がくるのを待ち、おいしくできた鍋を楽しむだけの人。男性を「待ち奉行」、女性を「待ち娘」と呼びます。「町奉行」「町娘」をもじったもの。
毎年、新しいお鍋が話題になったりしていますよね。定番のものから変わりダネまで、いろいろと挙げてみました。今のあなたの食欲をそそるものはどれでしょうか。
『寄せ鍋』
出汁を入れた鍋に野菜や魚介類などの様々な材料を入れて煮込む。地方毎に出汁や具材が異なって、たくさんの種類が存在します。
『すき焼き』
関東では割下と呼ばれる出汁(だし)を煮立てて、肉や野菜を煮込んでいくのが一般的。対して関西では、その名の通り、熱して油をひいた鍋で肉を焼き付け、出汁を加えてから具材を加えていくのが一般的になっています。牛肉だけでなく、鳥を使った『鳥すき』や『豚すき』『魚すき』などもあります。
『土手鍋』
もとは、広島県の郷土料理『牡蠣(かき)の土手鍋』で、鍋の周りに味噌を塗りつけて、カキと豆腐や野菜を煮ながら食べます。
『もつ鍋』
もとは、福岡県の郷土料理でもつ肉とニラをアルミ鍋で醤油味に炊いたものがルーツです。
『おでん』
鰹節とコンブでとった出汁に味を付けて、さつまあげやはんぺん、焼きちくわ、大根、卵などのおでん種と呼ばれる具材を入れて長時間煮込む。おでん種やつけだれの種類は、地域や家庭によって大きく異なり様々です。
『湯豆腐』
材料は豆腐、水、昆布、つけダレのみ。昆布で取った出汁に豆腐を入れ、温まったところで引き揚げて、つけダレでいただきます。京都に有名店がたくさんありますね。
『水炊き』
鍋に水を張り、鶏肉、野菜などの食材を煮込むことで出汁とする調理で、つけダレでいただきます。主に関西や九州で食べられてきていますが材料やつけダレなど地域によって様々です。
ところで、毎年進化を遂げている鍋ですが、近頃定番化しつつある新しい味はもう挑戦済みでしょうか?
『豆乳鍋』
出汁と豆乳をベースにしたお鍋。女性に人気がありますね。
『キムチ鍋』
別名キムチチゲとも言います。もとは、朝鮮で広く食べられている辛口の鍋で、白菜キムチが味のメイン。具には肉類または魚介類、野菜、豆腐などが使われます。
『ミルフィーユ鍋』(画像参照)
白菜と豚肉をミルフィーユのように幾層にも重ね合わせた鍋で、数年前に放映されたCMで火が付きました。
『カレー鍋』
和風だしにカレーのスパイスを利かせたスープを使った鍋。
このほかにも、メイン食材の名前を冠したお鍋も多くありますよね。トマトを使った『トマト鍋』、パクチーをたくさん使った『パクチー鍋』などがその代表格でしょう。
海を越えてやってきた海外の鍋料理。きっと知っているはずのメニューも実は鍋料理なんですよ。
『ポトフ』
フランスの家庭料理。牛肉やソーセージなどの肉と、大きく荒く切ったニンジン、タマネギ、セロリなどの野菜類を、じっくり煮込んだ料理。
『ブイヤベース』
地元の魚貝類を香味野菜で煮込む、フランスの寄せ鍋料理。マルセイユには「ブイヤベース憲章」というものがあり、具材や調理法などが定義されています。
『バーニャカウダ』
イタリア・ピエモンテ州を代表する鍋料理。テーブルの上にテラコッタ製の鍋を置いてディップソースを温め、野菜を浸して食べます。似たものに『チーズフォンデュ』があります。
『トムヤムクン』
世界3大スープとも言われており、 辛味と酸味、複雑な香りが特徴的なタイ料理です。ちなみに「世界3大スープ」と言われますが、厳密に3つとは決まっておらず、ロシアのボルシチ、中国のフカヒレスープ、タイのトムヤムクン、フランスのブイヤベースなどが挙げられることが多い、とされています。
『火鍋』
中国の食文化において広く知られる、辛味の強い鍋料理である。中国大陸に限らず、香港、マカオ、台湾、シンガポール、マレーシアなどの華僑・華人社会でも一般的。各国の中華街などでも、火鍋専門店があります。
── さあ、三連休はどの鍋を誰と食べましょうか。。。
考えるだけで楽しい気分になりますね。