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今は中秋(仲秋)と言いましたが、春夏秋冬はさらに3つに分けられます。秋なら、初秋・中秋・晩秋となります。季語・紅葉も、色づきはじめを初紅葉(はつもみじ)、緑を残して黄色や紅に染まる様子を薄紅葉(うすもみじ)、いよいよ紅葉(こうよう)が一面を彩り日差しに照らされる様子を照紅葉(てりもみじ)、さらに草紅葉、桜紅葉、柿紅葉など植物の名前をつけたり紅葉山・紅葉川、紅葉且つ散る、紅葉焚くなど、場所や様子を表わす季語もあります。北から南へ、山から里へと色づき具合が変わるようすを、先人は繊細にとらえて言葉に置きかえていたことがわかりますね。
今この時期は北海道の高原が色づいているでしょうか?全国的にはまだこれからというところです。紅葉というと楓が浮かびますが、秋になって真っ先に色づくのが桜や花水木など花を咲かせる木です。
桜よりはじまってゐる初紅葉
<稲畑汀子(ホトトギス 2006年)>
この一句はまさに、そんなようすをシンプルに表しています。汀子には薄紅葉の句もあります。
薄紅近づきすぎて見失ふ
<稲畑汀子(ホトトギス 2013年)>
こちらは遠くからはしっかり色づいているように見えて近づいてみたら、まだ薄紅葉だった、という情景が目に浮かびます。この句は単に紅葉や視覚のことを表現しつつ、もっと普遍的な何かを包んでいるようにも感じますね。
秋の空は高く澄んでいるため、晴天の日にはくっきりとした青さを感じますね。これから紅葉が深まっていくにつれて、空もますます澄んでいきますからその対照的な色彩はなんとも言えないものがあります。
一隅の天切り拓く紅葉かな
<大高翔(帰帆 2015年)>
空の青に紅葉の紅が「天切り拓く」ようにくっきりと対比しているさまがありありと浮かぶ一句ですね。まるでモダンアートを観るようなそんな俳句です。この週末からしばらくは秋の空と縁遠い空模様の予報ですが、10月以降少しずつ好天に恵まれることを願い、あなたの街のさまざまな紅葉を見つけてみてはいかがでしょうか。できればその景色を俳句にしてみるのも一興ですね。
出展・引用
俳句歳時記 秋 角川学芸出版編
『帰帆』 大高翔著 角川書店
俳誌のsalon 歳時記サイト