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冬の暖房にはコタツをはじめ、エアコン、ポータブルの灯油ストーブ、電気のヒーターやガスストーブなどが使われますが、北海道の一軒家ではほとんどが灯油を使います。
灯油ストーブに給油する場合、まずストーブを消してからタンクを抜き出し、18Lのポリタンクからポンプを使って一つひとつ給油する、というのが普通のスタイルです。ところが、北海道では給油タンクが内臓されたストーブはほとんど使われません。そんな小さなストーブでは、寒冷地では部屋が暖まらないからです。
北国の居間には大きなストーブがあり、これで部屋全体を暖めます。20畳ほどのスペースを1台で暖める大きなストーブには、屋外の490Lのタンクから直接灯油が引き込まれるので、ポリタンクから給油する手間がかかりません。ストーブや床暖房のほかにお風呂の給湯にも灯油が使われるので、外の灯油タンクは冬だけでなく、一年中活躍します。
この巨大タンク、なぜ490Lという半端な数字なのかというと、この量を超えると国の基準で防油堤という大きな囲いが必要となるためです。このため、家庭用は490Lという、なんとも中途半端な量のタンクとなるわけです。
タンクの上には灯油の量がわかる目盛りがついていて、今タンクにはどのくらいの灯油が残っているかがひと目でわかります。その目盛りを見て、残り少なくなったところで灯油屋さんに電話して配達してもらう…というような、まどろっこしい手続きをふんでいる家は、北海道ではたぶん少ないのではないでしょうか。
北海道ではほとんどの家が、どこかしらの灯油屋さんと契約していて、町を循環している灯油配達車が、契約している家のタンクに勝手に灯油を入れていき(毎月決まった日に入れる場合もある)、実際にタンクに入った灯油の金額が後から請求される、というシステムがほとんどです。
屋外に灯油という危険物が入った巨大タンク。そこに勝手に灯油を入れていく配達車。よその地方の人から見たら無用心のように思うかもしれませんが、北海道ではごく当たり前の光景です。
北海道のほとんどの一軒家には給湯ボイラーがあります。これは、カラーボックス2つ分くらいの大きさをしていて、普通、台所や浴室の近くの屋内に設置されています。ボイラー室をわざわざ作り、そこに洗濯物を干して乾かす、という家庭もあるようです。
ボイラーはお風呂や台所、洗面台の給湯用なので、年中使います。冬のストーブだけでなく、このボイラーにも灯油が使われるので、北海道の一軒家の灯油の消費量はかなり多くなります。
11月に入り、北海道ではストーブをつける時間が多くなってきました。そろそろ本格的な冬支度が始まります。家の中には大きなストーブと給湯ボイラー、家の外には大きな灯油タンク。北海道の住まいには灯油はなくてはならない大切なエネルギー源です。北海道全体で見ると屋外には何万個もの灯油タンクが設置されていて、それが当たり前のように生活に根づいています。季節は晩秋。北海道のこの大らかなシステムがますます活躍する冬が始まろうとしています。