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音読と朗読の違い、みなさんはご存知でしたか? 文部科学省のホームページの教育におけるワンポイントアドバイスのページに書かれている内容を簡単にご紹介しますと「音読は黙読の対語であり、声に出して読むことは広く「音読」。また、音読は正しく・ハッキリ・すらすらと読めることを目標とする」とあります。朗読はこれに加えて「作品の価値や特性を声に出して表現すること」であるとされています。まさに、朗読は表現であり芸術文化のひとつというのも頷けますね。また、数年前に流行した脳トレシリーズの監修者である東北大学の川島教授は、脳機能開発研究をする中で「読み、書き、計算」を反復学習することで、高齢者の認知症に対する脳機能の働きかけや幼児の脳の発達に好影響があったことを発表し、声に出して読むことの価値を多くの方が再認識されたのではないでしょうか。文章を目で認識し、声に出し、自分の耳で聞く、それだけでも黙読時より多くの動作が必要になり脳が活性化されていることは脳科学に精通しなくとも理解できますね。また、加えて声の高低、強弱などで作品の情景や登場人物の感情を表現する行為は、さらに繊細な作業ですから、脳だけでなく何らかの影響があるのではないでしょうか。「音読療法」という言葉や「言霊」なんていう言葉も耳にする昨今ですから、これから音読・朗読を始めてみようと思われた方は、声に出して読むだけで幸せな気持ちになるような作品を選んでみると良いかもしれませんね。
さて、そんな音読や朗読ですが、つい先日、国会審議の様子を声に出して再現する「コッカイオンドク」という取り組みがニュースで取り上げられました。これは、政治についてもっとしっかりと理解したいと思った主婦の方が始めた取り組みだそうです。共謀罪が採決される前後では全国各地で「コッカイオンドク」が繰り広げられ、会議録を読んだだけでは理解できなかったことや疑問、課題などがハッキリ見えてきた等、音読による効果を読み手の方々が実感したという声があがっています。筆者の個人的意見となりますが、動画などでその様子をみると、音読を越え、演劇のような再現をされている方々もあって、テレビの国会中継を見るだけでは得られない答弁に対する自分自身の自然な反応や疑問などいつもと違う視点が生まれました。台本は同じであるにも関わらず、理解や反応が異なるのはとても不思議です。このように、読み手の違いやその表現の仕方によって、受け取り手の反応も変わる音読、朗読は、書物はもちろん、それを越えて様々な物事を朗読によって再現してみると新しい発見があるかも知れませんね。また、音読や朗読は劇場や書店のホールでたくさんのイベントが行われていますが、最近はアウトドアの会場で星空の下で行われるもの等、趣向を凝らした朗読会も開催されていますので、是非チェックしてみてくださいね。