北陸の冬 ラニーニャ現象による低温とJPCZによる局地的な大雪に万全の備えを!
今冬もラニーニャ現象の影響で、日本付近には大陸から寒気が南下しやすくなる予想となっています。ラニーニャ現象が発生している年は、上空の風向きが西よりの風となりやすく、沿岸部や平野部を中心に降雪となる里雪型となりやすい特徴があります。本格的な冬に向けて備えを万全にして下さい。
●近年のラニーニャ現象発生時の気温や降雪の状況
近年のラニーニャ現象が発生していた(グラフのオレンジ色の着色部分)2005年度、2007年度、2010年度、2017年度、2020年度の気温や降雪状況を見てみます。ラニーニャ現象が発生していた年度の北陸の平均気温は、前年度より低い傾向となりました。
最深積雪は、福井では、ラニーニャ現象が発生していた2010年度、2017年度、2020年度ともに三連続で100センチを超え、富山でも2020年度は100センチ超えの大雪となりました。
●ラニーニャ現象とJPCZの合わせ技 平野部でも局地的に短時間のドカ雪となる可能性
大陸からの冷たい風は、朝鮮半島の付け根付近に位置する白頭山で二分されます。その後は、風下側の日本海上で再合流、日本海からの大量の水蒸気を含んだ気流は行き場を失い激しい上昇気流をおこします。ここで形成される発達した帯状の雪雲を「日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)」と呼びます。
降雪は強い寒気と降水の産物です。北陸でこの降水量(降雪量)を左右するのは、JPCZの動向次第といっても過言ではありません。ラニーニャ現象が発生していた2007年度の平均気温は、前年度の2006年度より低く最深積雪は多くなりましたが、明瞭なJPCZの出現はなく、極端な大雪はありませんでした。「強い寒気必ずしも大雪とはならず」ということもありそうです。
JPCZの動向に関しては、直前まで見極めが必要となります。こまめに最新の気象情報を確認するようにしてください。
●12月5日頃には平野部でも積雪か? 寒さや雪への事前の対策を万全に!
このあとあす27日にかけて冬型の気圧配置が強まり、北陸上空5500メートル付近には非常に強い寒気が流れ込む見込みです。平野部では雨主体となる予想ですが、初雪の観測される可能性があります。その後、12月5日頃にも強い寒気が流れ込んで、平野部でも初積雪となる可能性があります。
雪道や凍結路面の走行に有効な冬タイヤの装着を急ぎましょう。雪道の立ち往生の先頭車両にならないように注意してください。スコップや牽引ロープ、防水保温手袋、タイヤチェーンなども携行すると安心です。タイヤチェーンの装着が必要な場面は、天気は荒れて屋根はなく足場が悪いことが想定されます。タイヤチェーンを短時間で正しく装着できるように事前に練習をしておくのが良さそうです。燃料の給油は残量が少なくなる前にこまめに満タンにする習慣をつけましょう。
農業関連では、ハウスの損壊や倒壊を防止する対策、必要に応じて樹木を支柱などで補強するなど事前の対策をしてください。雪つりに関しても積雪となる前に完了させることが望ましいですが、時間的な余裕が少ない場合でも「松」を優先して雪つり作業をするのが良さそうです。