気象庁は10日、エルニーニョ監視速報を発表。夏は平常の状態が続く可能性が高く、秋は平常の状態が続く可能性もありますが、エルニーニョ現象が発生する可能性がより高い予想です。



●7月の実況


エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態となっています。 7 月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は +0.3°C で基準値に近い値でした。太平洋赤道域の海面水温は、西部で平年より高く、中部から東部ではおおむね平年並でした。海洋表層の水温は西部から中部で平年より高く、東部でおおむね平年並でした。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は、平年より不活発で、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強い状態でした。このような海洋と大気の状態は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態となっていることを示しています。


●今後の見通し


夏は平常の状態である可能性が高い見込みです。秋は平常の状態が続く可能性もありますがが、エルニーニョ現象が発生する可能性がより高い見通しです。

夏の間は太平洋赤道域の中部から東部の東風が平年並か平年よりやや強く、海洋表層の暖水の東進が妨げられると考えらますが、秋以降は暖水が東進し、東部の海面水温を上昇させると考えらます。エルニーニョ予測モデルは、夏は基準値に近い値で、秋は基準値より高い値か基準値に近い値で推移し、冬は基準値より高い値で推移すると予測しています。

以上のことから、夏は平常の状態である可能性が高い見込みです。秋は平常の状態が続く可能性もありますが、エルニーニョ現象が発生する可能性がより高い見通しです。


●西太平洋熱帯域及びインド洋熱帯域の状況


西太平洋熱帯域: 7 月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値に近い値でした。今後秋にかけて基準値より低い値か基準値に近い値で推移し、冬は基準値より低い値で推移すると予測されます。

インド洋熱帯域: 7 月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値に近い値でした。今後秋にかけて基準値より低い値か基準値に近い値で推移し、冬は基準値より高い値か基準値に近い値で推移すると予測されます。


情報提供元: tenki.jp日直予報士