【鹿島】ホーム26試合連続不敗のJ1新記録 鈴木優真ボランチ起用の鬼木達監督の大胆采配実る

<明治安田J1:鹿島1-1浦和>◇第6節◇16日◇カシマ
鹿島アントラーズがMF知念慶(29)の劇的ヘッド弾で浦和に追いつき、ホーム26試合連続不敗のJ1新記録を樹立した。敗色濃厚の後半45分、得意のセットプレーから勝ち点1。その直前、ボランチの知念が足を痛めたが、鬼木達監督がエースFW鈴木優磨をボランチに回す大胆采配を振り、そこから同点ゴールが生まれた。連勝は4で止まったが、負け試合の内容でも勝ち点をつかむ強い鹿島が戻ってきた。
◇ ◇ ◇
常勝軍団の伝統「したたかさ」で新記録だ。鹿島は序盤から浦和のハイプレスに押され、今季2人で8得点の2トップ、レオセアラ&鈴木も封じられていた。しかし、負けない。0-1で敗色濃厚の上、途中出場のボランチ知念が後半44分に相手と接触し、足を痛めるアクシデントもあった。既に交代カードは使い切っている。そこで鬼木監督が勝負に出た。鈴木をボランチに、知念を前線に、ぶっつけ本番の采配を振った。
その鈴木が右サイドでファウルを受けてFKを獲得し、その流れからDF植田が左クロス。知念が頭で押し込んだ。後半45分の劇的同点弾。連勝こそ4で止まったものの、もう1つの伝統「セットプレー」の強さで勝ち点1をもぎ取った。
鬼木監督が説明する。練習でも試したことがない鈴木の“転向”に「もともと(中盤に)下りるのも好きな選手。負けている状況なので、思い切って」。采配的中した形だが「選手の力」と感謝し「周りの選手もアクシデントに対して反応できたからこそ、最後、追いつけた」と振り返った。まさにジーコスピリットの「献身・誠実・尊重」だ。
土壇場で中盤の底に入った鈴木も「ボランチはやりたかったので(配置変更に)元気が出た」と笑いつつ「勝ち点0のゲームを1にできたことは、上位を目指す上ですごく大きい」。しかし、すぐ「誰も満足していない」と手綱を締めたところに復活の気配が漂う。
結果、J1新記録のホーム26試合負けなしを達成。「負けないことはサポーターにとっても誇りになる。勝ちにこだわりながら、これからもやっていきたい」と鬼木監督。国際Aマッチの中断期間に入る直前、底力の勝ち点1。常勝軍団復権とリーグ奪還へ、また近づいた。【岩田千代巳】