センバツに選出されず、選手に話しをする大院大高・辻盛監督(中央)(撮影・藤尾明華)

<第97回選抜高校野球:選考委員会>◇24日

天下の大阪代表が甲子園にいない…。第97回選抜高校野球大会の選考委員会が24日に大阪市内で行われ、約1世紀ぶりに大阪勢不在で大会を実施することが決まった。注目の近畿地区6枠目には滋賀短大付が入り、唯一8強入りしていた大院大高が惜しくも選考漏れ。春夏通じて全国トップの優勝回数を誇る「野球王国」に吉報は届かなかった。

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大院大高・辻盛英一監督(48)は選考漏れが決まった瞬間、思わず天を仰いだ。吹田市内の同校施設の会見場で出場校発表のライブ配信を視聴。近畿地区6枠目に「滋賀短大付」が呼ばれ、1927年(昭2)以来98年ぶり2度目となる大阪代表ゼロ校での大会開催が決まった。会見場の外で待機していた野球部員の中には、悔しさから涙を流す女子マネジャーもいた。

「野球王国」が屈辱を味わった。大阪勢はセンバツ12回、夏の甲子園14回と春夏通じて都道府県別でトップの優勝回数を誇る。しかし、昨秋の大阪大会を制した履正社は近畿大会で滋賀短大付に1-4で敗戦。大阪桐蔭は滋賀学園に2-3で敗れ、「大阪2強」がまさかの初戦で姿を消した。“最後のとりで”として大院大高に望みが託されたが、吉報は目前で届かず。辻盛監督も下唇をかんだ。

「大阪からゼロになったのだけはちょっと残念。大変申し訳ないなっていう気持ちはちょっとあります」

地域のバランスのみを考れば大阪勢唯一8強の大院大高に分はあった。ただ、「大阪2強」を下した滋賀県勢の2校について選考委員長の日本高野連・宝馨会長(67)は「実力のあるチームに対して、うまく試合を進めて勝ちきったのは大いに評価されるべきではないか。大阪の人はショックを受けると思うが、そういうこともある。それがセンバツ大会」と言い切った。

辻盛監督は「大阪3位、近畿ベスト8で選ばれたらラッキーっていう感じやったので」ときっぱり。また、今年は下級生中心の発展途上のチームということで「これで甲子園ポンと行ってしまって、選手みんなが満足してしまう方がちょっと怖かったので。メンタル的には良かったんちゃうかな」と前向きに捉えた。

選考結果を伝え、落胆するナインに指揮官はゲキを飛ばした。「誰にも文句言われないように、大阪でチャンピオンとって、甲子園にいって、日本一取れるように今からやったらええわけやから」。悔しさを糧にして、夏の甲子園切符を是が非でもつかみにいく。【古財稜明】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【センバツ】「野球王国」に吉報届かずも大院大高辻盛監督前向き「満足してしまう方が怖かった」