【センバツ】東海大札幌、主将2人を同時胴上げ エースも2人切磋琢磨「それぞれ持ち味を」監督
<第97回選抜高校野球:選考委員会>◇24日
東海大札幌(北海道)が10年ぶり7度目のセンバツ切符を手にした。16年に変更した現校名では初の甲子園。前回出場は東海大四時代の15年で準優勝だった。山口聖夏内野手と矢吹太寛投手のダブル主将制のチームは、背番号1の右腕、高橋英汰投手(すべて2年)と左腕の矢吹のダブルエースを中心に、10年前の忘れ物を取りに行く。
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東海大札幌ナインは札幌市内の同校で選考委員会のネット配信を見守った。午後3時37分に校名が読み上げられても、「どうしていいかわからなかった」と高橋が言うように反応に困る姿も。2分後にやっと拍手が起こり、吉報を喜んだ。気温2度の外に飛び出して記念撮影。白い息を吐きながら、山口と矢吹が並ぶ同時胴上げの珍しい光景が広がった。矢吹は「下がコンクリートだったのでちょっと怖かったけど、みんな力があるので信用して」と笑い「すごいワクワクしている。楽しみ」と聖地のマウンドを思い描いた。
登録上の主将は山口ながら、矢吹もまとめ役を担うダブル主将制。24年7月に就任した遠藤愛義監督(40)は、山口を「察する力がすごい強い」、矢吹を「気持ちが強い」と評価し「それぞれの持ち味を出してやってくれたら」という思いで2人に任せる。「やりやすいし、いい方向に2人で持っていける」と矢吹。1人で抱え込まず、言葉やプレー、それぞれの力が合わさってチームを引っ張る。
エースも2人。最速144キロ左腕の矢吹は秋は背番号7だった。「次こそ自分も1番をつけて投げたいって気持ちがある」。背番号1を背負った最速143キロ右腕の高橋は新球チェンジアップを練習中。「矢吹がいたからここまで成長できた。これからもまだライバルとして続く。絶対負けないで自分が1番をつけて最後までマウンドに立ちたい」と切磋琢磨(せっさたくま)する。
チーム力で10年ぶりに縦縞ユニホームが聖地に舞い戻る。山口は「自分たちの目標は日本一」。15年にあと一歩で逃した紫紺の優勝旗を、北の大地に持ち帰る挑戦が始まる。【保坂果那】
○…遠藤監督は指揮官として初の甲子園に臨む。現役時代は東海大相模、東海大でプレー。指導者としては21年センバツで母校のコーチとして優勝を経験している。東海大野球部名誉総監督の故原貢氏の指導は「子どもたちとの距離感が近いと感じた」といい、意思を受け継ぐ。LINEを使った今どきのコミュニケーションで選手に寄り添う。今大会は東海大系列では唯一の出場。「1点でも多く相手より取って勝ちたい」と見据えた。
▽東海大札幌OBの日本ハム今川(3年夏に甲子園出場)「自分のことのようにうれしいですし、OBとして誇りに思います。野球人生のためにも悔いなく全力で楽しんでほしいです。最高の舞台で縦じまのユニホームが躍動する姿を期待しています。執念!」
▽東海大札幌OBの日本ハム伏見(3年時主将も甲子園出場なし)「チームが一体となって勝利に向かっていく姿は感じるものがありましたし、僕自身も忘れちゃいけないなと刺激をもらいました。甲子園での戦いも応援しています」