米殿堂イチロー氏、唯一投票しなかった記者へ「一緒にお酒飲みたい」ユーモアたっぷり会見
25年の米国野球殿堂表彰者となった3氏の記者会見が23日(日本時間24日)、米ニューヨーク州クーパーズタウンの殿堂博物館で行われ、イチロー氏(51=マリナーズ会長付特別補佐)が、CC・サバシア氏(44)、ビリー・ワグナー氏(53)と一緒に出席した。唯1人投票しなかった記者に「一緒に飲みたい」と呼びかけるなど、ユーモアたっぷりの「イチロー節」を披露。7月27日には、同地でセレモニーが行われる。
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クリーム色の野球殿堂のユニホームに袖を通したイチロー氏は、公式会見でも持ち前のサービス精神は旺盛だった。まずは「現役選手として7回クーパーズタウンに訪ねているんですけども、8回目の今回、ホール・オブ・フェイマーとして、ここに戻って来られたことを大変光栄に思っています」と神妙にあいさつ。さらに「投票して頂いた記者の方々、ありがとうございました。どうやら1人、投票してくれなかった方がいるようですが、ぜひ自宅に招待して一緒にお酒を飲みたいので、名乗り出てシアトルまでお越しください」と、にこやかな表情で話し、会場の爆笑を誘った。
21日に発表された投票結果では、史上2人目となる満票にわずか1票及ばなかったが、資格1年目で日本人として初の殿堂入りを果たした。「おそらくそれは時間がたってから分かるのでは。21日に報告を受け、今日まで時間に追われてなかなか気持ちをかみしめることをできていない。今日博物館に来て、これからじわじわ湧いてくると思う」と率直な思いを明かした。
01年、日本人初の野手として挑戦し、今ではメジャーを目標にする選手も増えてきた。そのためにも、あらためて小さなことを積み重ねることの重要性に目を向けた。「一歩ずつ進んでほしい。小学生では聞かないが、ある時代から高校生ではMLB(大リーグ)でプレーすることが夢という選手がいっぱいいる。大きな夢で素晴らしいが、そこにいくにはこつこつと進んでいかなくてはいけないということを知っておいてほしい」。
7月27日には同地で盛大なセレモニーが予定され、歴代の殿堂入り選手と並ぶ銅製のレリーフが展示されることになる。「同じところにいていいのかなという気持ちと、先輩方には及ばない気持ち」。会見で笑いを誘う機転を見せつつ、殿堂の「新人」らしく、最後は謙虚な言葉を残した。