久慈21世紀枠で初センバツなるか 守備力武器、エース宇部奨人と和野虎牙のバッテリーがカギ握る
第97回選抜高校野球大会(3月18日開幕、甲子園)の出場32校が24日、発表される。21世紀枠で、久慈(岩手)が吉報を待つ。甲子園は79年夏に出場したが、初のセンバツなるか。守備力が武器で、エース宇部奨人投手と和野虎牙(こうが)捕手(ともに2年)のバッテリーがカギを握る。
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一面の雪景色まで快音が届いてきた。久慈は現在、雪でグラウンドが使用できず、室内練習場で技術練習やトレーニングを中心に行っている。宇部奨は「発表日が近づくにつれて、練習にも力が入りますし、熱量がどんどん上がってきています」と話す。さらに「地元の方からの期待が大きくなった分、日常生活で隙をみせないように、学校での生活態度やあいさつなどを改めて徹底しています」と、甲子園にふさわしい高校になるため、全員で気を引き締め直した。
バッテリーの絆が武器のひとつだ。初めてバッテリーを組んだのは、小学6年時の久慈選抜チーム。宇部奨は「投げやすい」と衝撃を受けた。中学の選抜チーム、久慈DREAMSではバッテリーを組む機会がなかったが、「久慈高校で一緒にやろうよ」という誘いに和野は首を縦に振った。宇部奨は「(和野は)バッティングの面は頼りになる4番ですし、ピッチングでも信頼関係ができているからこそ、安心して思い切って投げられるので、攻守において助けられています」と口にした。
強さの秘密はコミュニケーションだった。和野は「奨人は真っすぐも変化球もいいので、その良さを引き出せるように常に考えています。『今日はこのボールがいいから、これを中心に投げよう』など、たくさん会話をして、配球を組み立てています」。ブルペンでの投球練習が終わると、必ず話し合う。長く一緒にいるからこそ、少しの変化にも気づき、常にエースのベストを引き出している。
もう少しで願いがかなうと信じている。和野は「今の仲間がいなければ、途中で野球を諦めていた未来もあったと思います。『地元から甲子園』を掲げてきたので、この仲間と達成できればと思います」と口にした。ゴールテープはすぐそこだ。【木村有優】
◆東北地区の選考展望 東北地区の枠は3。昨秋の東北大会を制した聖光学院(福島)と準優勝の青森山田の選出は決定的だ。残る1校は準決勝で敗れた花巻東(岩手)と山形中央の一騎打ちとなりそう。花巻東は東北大会で秋田商、鶴岡東(山形)と各県の1位校を撃破し、チーム力は高い。山形中央も岩手1位の一関学院に勝利。山形勢は3校全てが東北大会8強入りしており、山形3位でも侮れない。21世紀枠は全国9地区の候補から2校が、地域を限定せずに選ばれる。